急を告げる電動化 ステランティスとバルカン・エナジーとリチウム供給契約を締結

2021年12月17日 06:02

Stellantis EV Chager

ステランティスの電動化への対応への具体例 伊ブレシアとミラノを結ぶ⾼速道路アウトストラーダA35に、世界的にも稀なダイナミックインダクション(ワイヤレス給電)システムによる、⾛⾏中の電気⾃動⾞のワイヤレス充電の実証試験設備が完成した

 米伊・自動車大手連合のフィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)と、「プジョー」や「シトエロン」の欧州で強みを持つラテンブランドを有するプジョーS.A.(グループPSA)の株主は2021年の年初1月4日、それぞれの株主総会で両者の対等な経営統合を承認した。

 両社は1月16日に統合新会社「ステランティス(Stellantis N.V.)」を設立。これにより次世代自動車に必要な研究開発をより効率的に実行することが可能となった。

FCAとPSAの経営統合が完了し、年間売上高は2030億ドル超に達し、販売台数では790万台と、フォルクスワーゲン(VW)、トヨタグループ、日産・ルノー・三菱連合に次ぐ、世界4位規模の自動車メーカーとなった。

 そのステランティスStellantis N.V.が、2021年11月29日アムステルダムでバルカンエナジーリソーシズ Ltd.(ASX: VUL)が、ステランティス・グループが製造する電気⾃動⾞⽤バッテリーに利⽤可能な品質の水酸化リチウムをバルカンがヨーロッパ内で供給する契約を締結したと発表した。5年契約で2026年に供給を開始する。12月14日にはトヨタが大規模な電動化投資を発表したばかり。世界の自動車大手各社の電動化自動車開発におけるバッテリーの争奪が激化する。

 ステランティスとバルカンとの供給契約は、2021年7月に開催されたプレゼンテーションで詳細が発表されたステランティスの自動車電動化戦略の⼀環であり、電気⾃動⾞⽤バッテリーパックの主要原材料の適切な供給を保証するもの。

 ステランティスは、⾃動⾞の電動化とソフトウェア開発のために、2025年までに300億ユーロ(3兆円超)規模の投資を⾏なう計画を発表しており、設備投資および研究開発費の合計額と売上高に関し、業界平均より30%効率的な事業を実施するとしている。

 ステランティスは、2030年までにヨーロッパで販売するクルマの70%、米国で販売する⾞両の40%以上を低排出ガス⾞(LEV)にすることを目標としている。バルカンは5年間の契約期間に、最低8万1000トン、最高9万9000 トンの水酸化リチウムを供給する予定だ。

 ステランティスの電動化への対応は急だ。2021年12月2⽇には、ブレシアとミラノを結ぶ⾼速道路であるアウトストラーダA35を運営するA35 Brebemi社が、ステランティスをはじめとする国際的なパートナー企業、公的機関や⼤学などと協⼒して、⻑年にわたる研究の末に建設したテストコース、「アレーナ・デル・フートゥロ(未来のアリーナ)」が完成した。その目的は、ダイナミックインダクション(ワイヤレス給電)システムによる、世界的にも稀な⾛⾏中の電気⾃動⾞のワイヤレス充電の実証試験である。(編集担当:吉田恒)