未来ある子どもたちのために! 「子ども食堂支援DX化に向けた実証実験」始まる

2022年02月23日 09:11

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未来ある子どもたちのために、KURADASHIと慶應義塾大学SFC研究所が「子ども食堂支援DX化に向けた実証実験」を開始。積水ハウス、三井住友銀行、東京・日本交通が連携サポートする。

 今、持続可能な開発目標「SDGs」が世界中で注目され、17の目標を達成するための様々な取り組みが行われている。しかし、言葉の認知度に比べ、目標に対する理解は低い。漠然と「地球環境の保全に関する施策」の様にとらえている人も、まだまだ多いのではないだろうか。

 例えば、SDGsの開発目標の1つ目に「貧困をなくそう」という目標がある。日本人は他人事のように考えているかもしれないが、実はそうではない。統計によると、日本の子どもの貧困率は、なんと13.5%。7人に1人が貧困状態にあるのだ。その一方で日本が世界有数のフードロス大国であるという、矛盾した現実がある。日本のフードロスは、2019年度の推計値では年間570万トン。毎日、茶碗一杯のご飯を日本国民が無駄にしているのと同じ量だ。そしてこれは、世界の食糧援助量の1.4倍にもあたる。

 貧困状態の子どもを支援する取り組みの一つに「子ども食堂」がある。子ども食堂とは、地域住民や自治体などが主体となり、無料または低価格帯で子どもたちに食事を提供するコミュニティのことだ。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの調べによると、2012年頃から全国的に増え始め、21年には6000箇所を越える子ども食堂が活動しているが、多くの子ども食堂が食材や資金の支援を必要としているという。

 そこでロスしている食材を、子ども食堂に活用できるよう、産学連携の支援プロジェクトが動き出した。

 社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」を運営する株式会社クラダシと、慶應義塾大学SFC研究所は共同で、企業が保有している災害発生時用の備蓄食品の情報のデータと、大阪府内の子ども食堂とのマッチングを行う「子ども食堂支援DX化に向けた実証実験」を2月14日より実施すると発表した。

 KURADASHIは、「もったいないを価値へ」をモットーに、フードロス削減に賛同メーカーから協賛価格で提供を受けた商品を最大97%オフで販売し、売上の一部を社会貢献活動団体へと寄付する日本初の社会貢献型ショッピングサイトだ。廃棄される商品に新たな価値をつけて再流通させるために「1.5次流通」という通常の流通ルートを毀損しない全く新しいサービスを提供して注目されている。また、社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」やフードバンク支援事業など、食を通じた社会貢献活動も熱心に行っている。

 本実証実験では、慶應義塾大学SFC研究所が参画している内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」において、スマートフードチェーンプラットフォーム(以下「SFP」)の社会実装に向け、コンソーシアムメンバーに限らない外部からの新規組織の参入を目的とした「新規ソリューションの検討」の募集に、クラダシが提案する「こども食堂への安定的食材提供の仕組み作りと実証」が採択され実現したものだ。これに、KURADASHIが京都府京丹波町で実施した「クラダシチャレンジ」でも連携している、大手住宅メーカーの積水ハウス株式会社と、災害用備蓄品のシェアリングなどでKURADASHIと提携関係にある三井住友銀行、さらには、コロナ禍で増大する食品運送ニーズに応えるため、運送業界でいち早く、道路運送法に基づく許可を受けて食品配送を実施している東京・日本交通株式会社の3社が協力し、実証実験を進めていく。

 具体的には、積水ハウスと三井住友銀行が食品提供企業となり、同社らが保有している、入れ替えのタイミングを迎える災害用備蓄品の食品情報をSFPに登録し、データを連携することで、大阪府内の5つの子ども食堂と食品のマッチングを行う。マッチングされた食品は、積水ハウスもしくは三井住友銀行の大阪府周辺の保管先から、東京・日本交通のタクシーやトラックなどを活用し各子ども食堂へと提供される。SFPによると、今回の実証実験をもとに、余剰食品の入出荷や在庫のデータベースからすぐに連携でき、子ども食堂への円滑かつ迅速な食品情報の連携・提供が可能となるよう体制を整え、2023年4月以降の正式サービス開始を予定しているという。

 少子化といわれる時代にも関わらず、子どもの7人に1人が貧困にあえいでいる。しかも、食品の6割以上を輸入に頼っているにもかかわらず、毎日、国民一人あたり茶碗一杯分の食品を無駄にしている。こんな歪んだ状況は、一日も早く改善すべきだ。2月14日から始まった「子ども食堂支援DX化に向けた実証実験」が成功し、来年開始が予定されている正式サービスが、少しでも多くの人の注目され、問題改善の大きな一歩となることを期待したい。(編集担当:藤原伊織)