日本の経済大国化とこれに伴う人口の移動で日本の地域コミュニティー機能の喪失が問題となってから久しい。21世紀からは子ども家庭の格差の問題や共働き家庭の増大で多世代交流の中で温かい食事を摂れない子ども達も年々増加傾向だ。「子ども食堂」は当初、朝ご飯や晩ご飯を十分に食べられない子ども達がいることを知った青果店の店主が2012年に始めたのが始まりと言われる。この活動を知った子ども支援団体が同様の活動を始めたことで全国的な広がりを見せ、現在では子ども向けだけでなく、帰宅時間の遅い会社員や家事をする時間が持てない家族なども参加し、地域住民のコミュニケーションの場としても機能している。
12月22日、認定NPO法人全国こども食堂支援センター「むすびえ」が21年10~12月に実施した「2021年全国箇所数調査及び第1回全国こども食堂実態調査」の結果レポートを公表している。これによれば、21年の全国の「こども食堂」の数は6007カ所、前年の4960カ所と比べ1047カ所増加、率にして121.1%と大幅に増加した。コロナ禍で様々な制約があったにもかかわらず「こども食堂」の増加傾向は勢いを失っていない。こども食堂は自治体等への届出を要しない民間活動のため全てすべてを把握できているわけではないが大きな伸びとなっている。
「こども食堂」の目的を聞いた結果では、6割近くが「多世代交流」を挙げており、過半数が「地域づくり・まちづくり」も含めている。実施している活動をみると、67.2%が「多世代交流を促す取り組み」となっており、「子どもの食事提供」、「子どもの居場所づくり」を主な目的としているものの子どものみの参加に限っているところはわずか4%、つまり、多くの「こども食堂」は、子ども以外の年齢層の者たちを幅広く受け入れており、様々な年代の者たちとの交流が実現できる場になっているようだ。
8.5割程の食堂で「大人」の参加があり、6割近くで「高齢者」も参加している。9割以上が地域住民という制限も無く、年齢的にも地域的にも幅広い者の参加を認めているようだ。幅広い年齢層は利用者として参加しているだけでなく運営スタッフとしても参加している。7割以上で高齢者が、3割以上で17歳以下の子どもが運営に関わっており、「こども食堂」は幅広い年齢層が多様な形で参加する「多世代交流の場」になっている。コロナ禍のため保健所の厳しい指導や公民館の使用が困難なケースもあったが、「子ども食堂」の活動は確実に広がっているようだ。(編集担当:久保田雄城)