1頭でも多く助けてやって 石破自民前政調会長

2011年11月10日 11:00

 東京電力福島第一原発事故のために警戒区域内に取り残され、今も命をつないでいる牛など家畜の命を一刻も早く国の責任で救出するよう9日の衆議院予算委員会で自民党の石破茂安全保障調査会長(前政調会長)が涙を浮かべて訴えた。鹿野道彦農林水産大臣は「1頭でも多く、助けてやって頂きたい」と早急な対応を求めた石破氏に対し「研究用に本日公募する」と約束した。

 また、石破氏は「こうしている間にも、どんどん命が喪(うしな)われている。牛がどんなに苦しんでいるか、飼い主が涙に暮れているか。人間の責任はものすごく重い」と語り、「水をやり、餌をやり、したくても(警戒区域に入っていけないから)できない。入れないようにした国が責任を負うべき」として、命を救う対応を求めた。また、こうした家畜の経時変化を観察していくことが大事だとした。

 枝野幸男原子力災害対策本部副本部長は「人命最優先で動物への対応が十分でなかった。周辺住民、そこにいた動物に大変申し訳なく思っている。真摯に受け止め、本部としても農水省と迅速に対応していきたい」と答えた。

 農水省は9日、牛などの肉中放射性セシウム濃度の「と畜前」推定技術の検証を研究対象とした研究実施機関の公募をはじめた。研究費に最大1500万円を助成するとしている。

 ただ、警戒区域内では1000頭近くの家畜が命をつないでいるとされ、迅速に抜本的な救済策が求められている。(編集担当:福角忠夫)