【コラム】悔いのない「1票」を投じてほしい 参院選

2022年07月09日 08:12

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今回の選挙結果が安全保障の在り方やコロナ禍で傷んだ国民生活への政策対応に大きな影響を与えることから、自身が考えるところをよく考えて、悔いのない「1票」を是非、投じてほしい

 参議院選挙は10日、投票日を迎え、即日開票される。今回の選挙結果が安全保障の在り方やコロナ禍で傷んだ国民生活への政策対応に大きな影響を与えることから、自身が考えるところをよく考えて、悔いのない「1票」を是非、投じてほしい。

誰に投票すれば良いのか分からないという方には、NHKがホームページで開設している「参議院選挙2022」から「ボートマッチ」を開き、そのアンケートに答えれば、自身の選挙区からの候補者と自身の考え方の近似値、比例代表での候補者との近似値が確認できるので、参考になる。是非、アンケートに答えて、選択の参考にされるといい。

 今回、私は「消費税」と「安全保障」で公示日の6月22日にNHKが実施した候補者アンケートの回答(517人の候補者が回答としている)から、各政党の平均値を算出したとする結果に注目した。

 暮らしに大きな影響を与えるだろう物価対策。特に政党の対応が鮮明に出てくるのが「消費税」への対応。

 「消費税率の一時的な引き下げが必要か」との問いに、候補者の73%は必要と答え、不要は21%にとどまった。ところが、政党別結果では、公明党はすべての候補者が「不要」、自民党も「不要」の度合いが高い。

 一方、共産、国民はすべての候補者が「必要」と答え、必要度合いの高い順に維新・立憲・れいわ・社民・N党の順になっていた。

 大企業や富裕層への課税強化では59%が賛成・どちらかと言えば賛成。逆に反対、どちらかといえば反対は28%にとどまった。

 政党別では共産党の全候補者が「賛成」、れいわ、社民・立憲がこれに続いていた。国民・公明も賛成に傾いている。一方、維新は「反対」に傾き、N党は賛成・反対のほぼ中間。自民党候補者は38%が回答しなかった。

 自民党の岸田文雄総裁(総理)は「金融所得課税」の見直しについて、自民党総裁選当時、行き過ぎた新自由主義の是正、新しい資本主義創造の中で「分配の在り方」、「格差是正」、「所得倍増」を強調したが、いつの間にか、配分の在り方はへこみ、所得倍増は「資産所得倍増」にすり変わり、株式の譲渡益や配当など金融所得への課税強化どころか、資産2000兆円の半分を株式市場などへ投入を促す方針を示し、金融所得課税強化どころか、緩和の方向性を示した。

 野党側から追及され、衆院予算委員会では「(金融所得課税強化の)議論が終わったわけではない」などと釈明した。本気でやる気があるのか、総理・総裁として、具体にメスを入れる陣頭指揮にあたる責任を果たしてほしい。

 次に安全保障の在り方。ロシアによるウクライナ侵略で防衛費拡充や敵基地攻撃能力(自民は反撃能力と表現を変えている)の保有、憲法9条改正にまで右派勢力は利用しているようにさえ思えるのだが、防衛費に関して維新・自民は「増やすべき」の度合いが高く、共産・社民は「減らすべき」の度合いが高い。立憲はほぼ中間。

 敵基地攻撃能力保有では、N党・自民・維新・国民の順に賛成度合いが高い。共産・社民は全員が反対、れいわ・立憲は反対度合いが高い。この問題に公明候補者の63%は「回答しない」を選択。微妙な立ち位置をうかがわせた。

 今回の選挙は日本の平和憲法を象徴する「憲法9条(戦争の放棄)」規定に大きな影響をもたらす選挙にもなる。9条はかつて「ノーベル平和賞に」と求める運動が起きたほど、世界に類を見ない、崇高な規定といえるもの。

 平和と安全を日本の平和外交努力で維持・発展させていこうとする日本の在り方を象徴してきた条項でもある。その規定をどう扱うのか。今回の選挙は、これをも左右する大きな意味を含んでいる。(編集担当:森高龍二)