「調査は抑制的、注視はしていきたい」文科相

2022年07月14日 07:33

 安倍晋三元総理銃殺事件が旧世界基督教統一神霊協会(旧世界統一教会、現「世界平和統一家庭連合」、略称「家庭連合」)との関係性が要因とされる中、宗教法人を管轄する文部科学省の末松信介大臣は12日の記者会見で、宗教法人への調査について「憲法が保障する『信教の自由』の観点から、極めて抑制的であるべきと思っている」とした。そのうえで「非常に注視はしていきたいと思う」と述べた。

 末松大臣は、今回の件に関し調査するかどうかは「事の次第による」とした。そのうえで「文科省としては、宗教活動は憲法上『信教の自由』として保障されているから所轄省として宗教活動への介入は基本的には認められていない、と解釈をしている。信者獲得で随分、非道徳的なやり方で資金を集めているとか、破産をしたということについては、色々な意見はあろうと思うが、個別に法律的に処理し、回収なり、相手に対し制裁を求めることが正しいやり方ではないかと思う」と宗教活動への介入には慎重な姿勢を示した。

 末松大臣は「文科省としては、軽々に立ち入って指摘をするということには、極めて抑制的であるべきと思っている。ただ、非常に注視はしていきたいと思う」とした。

 全国霊感商法対策弁護士会は12日都内で開いた記者会見で、旧統一教会に関して、昨年までの過去5年に限っても弁護士や消費生活センターで相談を受けた件数は約580件、被害総額が54億円に上ると発表。旧統一教会の「聖本」は一冊3000万円だった、としている。高額な理由は旧統一教会創設者「文鮮明」のサインが入っているからという。

 旧統一教会は1954年に文鮮明により韓国で創設された。文鮮明は安倍元総理の祖父にあたる岸信介元総理と朋友と言われている。全国霊感商法対策弁護士会は会見で1990年代の時点で、旧統一教会の信者が秘書として自民党国会議員を中心に三桁(100人以上)送り込まれ、その秘書らが議員の知らないところで情報共有し、統一教会に報告され、自分たちに有利になるように指示を受けていたと明かした。(編集担当:森高龍二)