2021年1月、菅首相(当時)は施政方針演説で「35年までに新車販売で電動車100%」を実現することを表明した。事実上、35年以降のガソリン車・ディーゼル車の販売禁止を表明したと捉えられている。ここでの電動車とは「電気自動車(EV)」、「燃料電池自動車(FCV)」「プラグインハイブリッド自動車(PHV)」「ハイブリッド自動車(HV)」が該当する。この表明を受け、同年6月に公表された「グリーン成長戦略」に「35年までに新車販売で電動車100%を実現する」と明記された。EUも35年以降の内燃自動車販売禁止を表明しているほか、中国でも35年をめどに新車販売をEVやHVのみとするなど、世界各国で30年代をめどに内燃車販売禁止が表明されており、今後は電動車販売へのシフトが加速すると見られている。
8月9日、富士経済が電動車(HV・PHV・EV)の世界市場を調査し、これをとりまとめたレポート「2022年版 HEV、EV関連市場徹底分析調査」の一部を公表している。これによれば、HV、PHV、EV、それぞれの35年における市場規模は、「HV」では26年まで各エリアで増加し、30年以降は中国と北米がけん引すると見込まれ、新車販売台数は1536万台、21年比で4.0倍となると予測されている。「PHV」は北米の伸びを背景に市場は拡大すると見込まれ、新車販売台数は783万台、21年比で4.2倍になると予測されている。「EV」の新車販売台数は5651万台、21年比で12.0倍という大幅な拡大で、中国、欧州、北米で大きく伸長し、35年には新車販売台数全体の半数以上に達するという予測だ。
21年の市場は、新型コロナの影響で部品や半導体が不足したがHV、PHV、EVの新車販売台数は増加している。一方で内燃車の新車販売台数は減少し、新車販売台数全体に占めるHV、PHV、EVの割合は13.9%と前年比5.0ポイントの増加となっている。22年も半導体不足の影響が懸念されるが、環境規制対応によって欧州や中国を中心にEV普及が進む見込みだ。25年頃までは内燃車の新車販売台数シェアは大きいと考えられるが、その後はカーボンニュートラル実現に向けて欧州や中国でEVへのシフトが加速し、30年にはEVのシェアが内燃車を上回ると予想される。さらに、35年には乗用車の主役は内燃車からEVへシフトし、EVの新車販売台数全体でのシェアは57.1%と6割近くまでに達すると予測されている。(編集担当:久保田雄城)