BYD(比亜迪)の日本法人ビーワイディージャパンは先般、日本の乗用車市場への参入決定を発表した。これに伴い、BYDジャパンは、日本国内における乗用車の販売、関連サービスを提供する100%子会社、BYD Auto Japanを2022年7月4日に設立した。BYD Auto Japan は2023年1月より順次、電気自動車(EV)3車種の販売を開始する。
BYDは、1995 年に中国・深圳で創業した、IT エレクトロニクス、自動車、新エネ、都市モビリティの領域で事業展開する企業だ。バッテリーメーカーとして創業した背景から、電池はもちろん、モーターやコントローラーなどEVのコアとなる技術を自社開発・製造する。とくに、自動車事業においては世界70超の国と地域、400超の都市でEVを展開し、中国 国内では9年連続、EV販売台数第1位を記録した。2021年のBYD製EVは約60万台に達する。
中国・深圳に本拠を構えるBYDは、乗用車のほかEVバスやEVトラックなどの商用車も含む新エネルギー車(NEV)を世界70超の国と地域、400超の都市で展開する大手自動車メーカーの仲間入りを果たした。BYDの乗用車EVは2021年、前年比220%増の約60万4000台を販売。さらに2022年1~6月には前年同期比3倍を超える約64万台を販売し、EV販売台数世界No.1となった。
BYDの日本法人、2005年に設立したBYDジャパンは、EVバスやEVフォークリフトなどを中心に事業を日本で展開し、国内EVバスのシェアは約7割に達するなど、コマーシャルヴィークルの領域においてモビリティの電動化を推進してきた。
そして、日本政府が2035年までに国内新車販売で電動車100%を実現することを決定し、電動化が急務とする一方で、2021年の日本におけるEV販売実績は約1%に留まっている。BYDジャパンが行なった調査では、「高価な価格」「充電設備の不足」「航続距離への不安」「ラインアップの無さ」などが電気自動車購入の障壁となっていることが分かった。
世界中で高い安全性と長い航続性能をもった多彩なEVを手の届きやすい価格で展開してきたBYDは、日本においても「eモビリティを、みんなのものに」をブランドパーパスとして掲げ、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けて、日本の乗用車市場への参入を決定した。
日本進出を図ったBYD Auto Japanが発売を予定しているのは、最新のミドルサイズe-SUV「ATTO 3」(アットスリー)、日常に溶け込むコンパクトで普段使いにマッチするe-Compact「DOLPHIN」(ドルフィン)、BYDの最新技術を結集したハイエンドe-Sedan「SEAL」(シール)の3車種。
予定では2023年1月に発売の「ATTO 3」を皮切りに、2023年夏ころに「DOLPHIN」、2023年下半期に「SEAL」をリリースする。
最初に発売するSUVのATTO 3は、2022年2月に中国で販売を開始して以降、シンガポールやオーストラリアなど中国国外でも好評を得ている。 BYDが独自開発した「ブレードバッテリー」を搭載したEV専用のプラットフォーム「e-Platform 3.0」を採用し、ボディサイズは全長4455mm×全幅1875mm×全高1615mm、ホイールベース2720mmだ。出力150kW、トルク310Nmを発揮するモーターが前輪を駆動、485kmの航続距離(WLTC値)と高い安全性、フラットな床面によって広い車内空間と440リッターの荷室容量を実現した。
2021年8月に中国で販売開始したDOLPHINは、海からのインスピレーションを得て、エクステリアとインテリアの随所にイルカをイメージしたデザインとした。
全長4290mm×全幅1770mm×全高1550mm で、e-Platform 3.0を採用し、471km(WLTC値)の航続距離を持つ。ラインナップはスタンダード、ハイグレードの2種類で、両グレードで交通標識認識システムや誤発進抑制機能などの充実した安全装備を標準搭載する。
SEALは、DOLPHINと同じ海からのインスピレーションから生まれ、スポーティかつエレガントなデザインを特徴としたEVセダン。ボディサイスは全長1800mm×全幅1875×全高1459mm、ホイールベース2920mmのCセグセダンだ。BYDが2022年5月に発表したばかりの最新モデルで、その航続距離は555km(WLTP値)に達する。
2022年7月30日から8月28日まで、横浜市・赤レンガ倉庫イベント広場で開催される『RED BRICK BEACH 2022 presented by BYD AUTO JAPAN』にトップスポンサーとして協賛し、期間中会場内に「ATTO 3」「DOLPHIN」「SEAL」を展示する。本会場では、「ATTO 3」の試乗も可能だ。(編集担当:吉田恒)