東京電力は主務大臣(総理、経済産業大臣)から4日、特別事業計画の認定を受けたと発表した。原子力損害賠償支援機構と共同で認可申請していた。これを受け、原子力事故被害者への賠償を迅速に行うとともに、東電の経営合理化の具体的道筋を明示。来春には今回の計画を改定した「総合特別事業計画」を策定し、中長期的な視点で抜本的改革に向けた見直しを行う。また、10年間で2兆5455億円のコスト削減を達成する。
特別事業計画によると、現在、合理性を持って確実に見込まれる賠償額は1兆109億800万円としており、迅速な賠償を行うため、請求書類などの到着から3週間以内を目途に必要書類の確認を終了させ、合意書を返送後、1週間から2週間を目途に損害賠償額を支払うとしている。
また、賠償額が少額者に対しては東電から請求漏れがないか確認する。原子力損害賠償紛争審査会で提示された和解案を尊重する。請求書記入をサポートし、請求書そのものの簡素化など抜本的な改善を図り、11月中に見直し内容を確定するなど、東電として被害者への対応を改善するとしている。
また、東電の経営合理化のうち、人件費については今年度初期に比べ平成25年度末までに連結で約7400人、単体で約3600人の人員削減を図るほか、給与については管理職で25%、一般職で20%を年収ベースで一律減額する。時間外労働割増賃率を法定まで引き下げる。退職給付制度を見直し、24年度中に新制度実施をめざし、終身年金で3割削減に取り組む。
東電の経営責任の明確化について、役員報酬の面から会長、社長、副社長は5月支給分から100%減額(4月は50%減額)。常務が5月から60%減額(4月は50%減額)、社外役員は6月から50%減額(4月、5月は25%減額)、執行役員は4月支給分から40%減額になっているが、こうした減額措置を継続するとともに、役員の退任や退職慰労金の放棄など、さらに経営責任を明確化する方策について結論を総合特別事業計画において得るなどとしている。
(編集担当:福角忠夫)