ホンダ、エーザイ、大分大学、臼杵市医師会が共同で、高齢運転者の認知機能や体調変化、運転能力との関係性を研究

2022年08月18日 06:57

Honda×Eisai_s

高齢ドライバーの安全と健康を維持できる社会の実現に向け、認知機能や日常の体調変化と運転能力との関係性検証を行なうHonda、エーザイ、大分大学、臼杵市医師会4者の共同研究の概要

 本田技研工業、エーザイ、国立大学法人大分大学、臼杵市医師会の4者は、今般、高齢ドライバーの認知機能や日常の体調変化と、運転能力との関係性について検証を行なうための共同研究契約を締結したと発表した。

 近年、高齢化が進み、年齢による体調や運転能力への不安を理由に、やむなく運転免許証を返納したことによる、普段の生活の移動に不便を感じるQOL(クオリティ・オブ・ライフ/生活利便性)の低下が社会的課題となってきた。

 今回発表した共同研究の目的は、日常の体調と運転中の状態を常に見守り、一人ひとりに合わせた安全と安心を提供し、高齢ドライバーの安全と健康の維持向上、またその家族や地域住民も安心して生活ができる事故ゼロ社会の実現をめざすことにある。

 共同研究のおもな具体的取り組みは以下のとおり。

 健康データを収集するために、臼杵市医師会立市民健康管理センターにて健康診断と認知機能テストの一部を、大分大学医学部神経内科学講座にて主に認知機能テストを実施します。認知機能テストには臨床診断のための画像検査と神経心理学的検査に加えて、エーザイの脳の健康度セルフチェックツールを使用する。

 脳の健康度のセルフチェックツール「のうKNOW」(非医療機器)とは、Cogstate Ltd.(オーストラリア)が創出したアルゴリズムに基づきエーザイが開発した脳の健康度(ブレインパフォーマンス)のセルフチェックツール。エーザイが全世界における開発権および独占的商業化権を持つチェックツールだ。PC等を用いた簡便なトランプテストによって、脳の反応速度、注意力、視覚学習および記憶力を、テストすることができるシステムだ。

 同時に、日々の体調データを、対象者が装着するウエアラブルデバイスを用いて測定。また、運転能力(運転認知行動と運転操作)を、臼杵市医師会立コスモス病院にて、Hondaのドライバー行動・状態モニタリング研究技術を活用したツールを使い計測。健康データや日々の体調と運転能力がどのような関係性を有しているのかを検証する。

 ドライバー行動・状態モニタリング研究技術を活用したホンダのツールとは、同社のシミュレーター技術を最大限に活用した開発した簡易型ドライブシミュレーター「Hondaセーフティナビ」を改良し運転操作を計測。また、運転に関わる認知行動などの能力をオリジナルプログラムにて計測できる。

 今後、この共同研究で得られた成果を生かして、日々の体調や運転行動などをモニタリングすることで、体調不良や運転に関わる認知機能低下の検知と通知のほか、体調や運転能力の変化に合わせた安全運転のアドバイス、健康促進のアドバイスを行なう。さらに、一人ひとりに合わせた安全と安心を提供できるよう、新たなソリューションの創出に取り組む。

 Honda、エーザイ、大分大学、臼杵市医師会4者による共同研究の実施期間は2022年9月1日~2023年3月31日。対象者として大分県臼杵市に住む65歳以上の方(100名)としている。(編集担当:吉田恒)