金融所得課税の見直しは慎重に 経団連がけん制

2022年09月13日 07:01

 日本経済団体連合会は12日までに来年度税制改正に関する提言をまとめた。岸田文雄総理が自民党総裁選時に掲げた「金融所得への課税見直し」はすでに先送りされているが、検討そのものは放棄していない。

 このため経団連は「金融所得課税のあり方の見直しについては、税制の所得再分配機能の重要性のみならず(1)市場の価格形成(2)経済社会に与える影響(3)投資家の資産選択への影響等にも十分留意しつつ、慎重に検討すべき」と強くけん制している。

 また「金融資産の効率的な運用、金融資本市場の活性化、企業の円滑な資金調達等の観点から、実務面の課題に十分配慮しつつ、今後も更なる『金融所得課税』の一本化を検討すべき」と求めている。

 その一環として「デリバティブ取引と上場株式等との損益通算化を実現すべき。また、上場株式等の譲渡損失の繰越控除期間を現行の3年間から延長することも検討すべき」などと求めている。

 岸田総理は総裁選挙時に掲げた「所得倍増」から、総理就任後は「資産所得倍増」にすり替え、金融所得課税見直しも、いつの間にか経団連などの声に押され、先送り姿勢になっている。(編集担当:森高龍二)