公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「グッドデザイン賞」の2022年度受賞結果が10月7日に発表された。
同賞は、社会全体の発展を目的に、工業製品からビジネスモデル、イベント活動など幅広い領域においてデザインが秀でたものに贈られる賞であり、日本で唯一、総合的にデザインを評価し推奨するものとして知られている。
今年度のグッドデザイン賞は、分野や領域を超えた「交意と交響」をテーマに4?から受付が開始され、5715件もの応募作品が集まった、その中から、各分野の一線で活躍する97名の審査委員による厳正な審査を経て1560件の受賞が決定し、さらに独自性、提案性、審美性、完成度などの面において特に優れた対象として「グッドデザイン・ベスト100」の100件、特別賞の「グッドデザイン金賞」20件、「グッドフォーカス賞」12件が選ばれた。また、グッドデザイン金賞作品の中からは大賞候補として5件の「ファイナリスト」が選出され、11月には今年度を代表する「グッドデザイン大賞」1件が発表される予定だ。
発表された受賞作品を見てみると、今年も多様な分野の多彩なアイデアで溢れている。
例えば、グッドデザイン賞の常連受賞者でもある、木造建築メーカーのアキュラホームグループが、「超空間の家」で受賞している。同商品は、同社が災害に強い住宅を実現するべく、東京大学や京都大学などの国立大学と共同で研究を続けて開発したもので、一般的な耐力壁の 15 倍の耐力を有する「8トン壁」と呼ばれるオリジナルな耐力壁を用い、木造住宅において大空間、大開口を実現したことが高く評価された。この8トン壁は一般流通材を用いて作られており、コストも抑えられている点や、高い断熱性で光熱費も抑えられている点も評価されている。そして何より、コロナ禍の影響で、住宅に求める快適性や開放性のニーズが高まる中、新たなスタンダードを作ろうという強い意気込みが今回の受賞につながったようだ。
一方、これからの時代を感じさせる受賞作としては、ファストドクター株式会社の医療系Webサービス 、夜間・休日に患者と医師をつなぐ「ファストドクター」がある。夜間や休日におきる急病やケガは、救急車や夜間休日対応の病院にかけ込むなど受診手段が限られている上、専門医が不在であったり、受け入れ先を探したりするのにも苦労する。また、その症状やケガが緊急を要するのかも素人には判断が難しい。ファストドクターはWebを通じて、①症状の緊急度判定 ②近隣の病院案内 ③必要時の自宅での診療手配(往診・オンライン診療) 等を行うサービスで、とくに夜間・休日救急の新たな選択肢となることが期待できそうだ。
他にも、グッドデザイン賞のサイトでは今年の受賞作が紹介されているので、ぜひ一度、ご覧いただきたい。見た目の奇抜さや斬新さだけではなく、これからの社会に求められるもの、消費者に選ばれるであろうものが受賞している。今後の社会の動向を知る上でも、参考になるのではないだろうか。(編集担当;藤原伊織)