今年も桜の時期がやって来た。冷え込みの厳しい冬が終わり、3月の気温が平年より高くなった影響で、開花時期は平年より早めだそうだ。3年目に突入したコロナ禍の規制も緩和され、対策を取りつつ、お花見に出かける方が増加している。ただ、お出かけしやすいこの季節に、毎年頭を悩ませるのが、紫外線対策だ。
気象庁の調べによると、国内の紫外線量は、1990年の観測開始以降、年々増加しているそうだ。増加率は10年あたり+4.1%(年間2.92kJ/m2)らしい。オゾン層の破壊が原因として考えられており、すぐさま劇的な改善は期待できない。今のところ、各々の紫外線対策で賄うしか無さそうだ。衣服や日焼け止めなど、代表的な紫外線対策を思い浮かべる方も多いだろうが、それだけでは無い。紫外線対策の進化をご紹介しよう。
大手光学機器メーカーの株式会社ニコンは、様々な光対策が施されたメガネレンズ、「ピュアブルーUV」を展開している。従来のUV対策されたレンズは、やや色の入ったレンズが主流だったが、同社のレンズは無色と同等のクリアレンズとなっており、見え心地が快適と評判だ。ただ紫外線は100%カット、ブルーライトも約80%カットしてくれる優れもので、グッドデザイン賞を受賞していることも頷ける。
京都西陣に店を構える絹糸問屋・中村忠三郎商店では、シルクの紫外線防止効果に注目している。シルクの組成であるアミノ酸結合のたんぱく質繊維が、人間の肌に代わって紫外線を吸収し、変質することで、肌への紫外線透過を防ぐ効果があるそうだ。生地の色や厚さ、商品の製法によって差異はあるが、プレーンなシルクには最大95%の紫外線遮蔽率が備わっている。そんなシルクを使用した手袋やアームカバーが商品展開されている。
国内大手ハチミツメーカーである山田養蜂場では、ミツバチの恵みの美容や健康への有用性について、自社の研究所でアプローチを続けている。そしてこの度、ローヤルゼリーの特長成分であるデセン酸が、酸化ストレスから細胞を守る酵素を増加させ、紫外線や大気汚染などの外部ストレスから表皮を保護する可能性があることを明らかになったそうだ。この研究は、学術誌”International Journal of Molecular Sciences“にも掲載されている。
女王蜂のパワーの源であるローヤルゼリーには、塗布や飲用によって角層水分量が向上することや、創傷治癒を促す作用があることはわかっていたが、表皮の外部ストレスに対するローヤルゼリーの影響やメカニズムは不明だった。同社は以前からローヤルゼリーを含んだ化粧品の販売をしており、上記の新たな発見によって、更に特性を活かした製品開発が期待できる。
紫外線は、カルシウムの働きに関わるビタミンDの生成を行ってくれるなど、利点もある。ただ、長時間にわたって紫外線にさらされると、皮膚や目、免疫系に重大な疾患を引き起こす可能性がある。外出しやすくなる季節だからこそ、今一度、ご自身の紫外線対策を見直してみてはいかがだろうか。(編集担当:今井慎太郎)