フランチャイズ(以下FC)といえば、コンビニやファストフードなどの飲食店舗を思い出す人は多いのではないだろうか。でも、これからはその中に「工務店」も仲間入りするかもしれない。
木造建築メーカーのアキュラホームグループは10月13日、新事業「アキュラホーム FC」を開始することを発表した。同社はこれまでにも、日本一を目指すビルダー集団「スマートアライアンスビルダーメンバー(SABM)」や、工務店ネットワーク組織「ジャーブネット(JAHBnet)」などを組織し、全国規模のネットワークによるスケールメリットと地域密着の工務店ならではのダイレクトサービスを併せ持つネットワークの形成に努めてきた。ちなみにJAHBnetは約 2800 社もの全国の工務店が参加しており、98 年には(財)日本住宅・木材技術センターの木造住宅供給支援システムにも認定されている。今回の新事業「アキュラホーム FC」は、その発展型ともいえるものになりそうだ。
不景気やコロナ禍など、建築業界には厳しい状況が続いている。とくに工務店を取り巻く環境は厳しく、全国のビルダーや工務店の数は2020年の約8万社から2030年には約1.5万社にまで減少すると予測されている。大手ハウスメーカーも、経営効率の悪さから地方部の撤退を続けているような状況だ。
アキュラホームグループはその中でも業績好調を維持し、昨年度は過去最高の受注棟数となる2094棟を達成して、業界内でも注目されている企業だ。今回の「アキュラホーム FC」では、そんな同社の成功実践ノウハウを全国の地域工務店に展開するとともに、加盟店はアキュラホームブランドのもと、2022年度グッドデザイン賞を受賞した「超空間の家」の販売をはじめ、集客や営業をアキュラホーム同様に行う。さらに設計や積算などの業務、資材の仕入れ、各種管理システムなどを使い、年間完工棟数30棟、売上7.5億円以上、営業利益7000万円以上達成を目論み、直営店と共に全国を網羅することで、2027年度には注文住宅日本一となる1万棟超の販売を目指すという。
地方創生や地域活性が叫ばれて久しいが、地元に密着する小さな会社にとっては厳しい状況が加速しているのが現状だ。とくに商品開発力やブランド力、資材調達力、さらには国の施策などへの対応力に乏しい地域工務店は、いくら技術を持っていても、どんどん淘汰されていってしまう。FC化によって地域工務店のウイークポイントが解消され、「地域から愛され」「地元愛溢れる」地域密着のビルダーや工務店が元気を取り戻すことを期待したい。(編集担当:藤原伊織)