事実上の原発運用期間延長閣議決定 法案提出へ

2023年03月02日 07:06

 政府は東京電力福島第一原発事故を踏まえて原発運用は「原則40年、最長60年」としてきた期間から、審査期間や裁判など原発停止期間を除外し、事実上、運用期間を延長することを閣議決定した。必要な法案を国会に提出、今国会での成立を目指す。

 ただ運用停止期間も設備の劣化は進んでいる。審査期間や裁判が長引けば長引くほど、老朽化した原発が再稼働することとなり、そのリスクはぬぐえない。政府は運用から30年を過ぎた原発は10年以内に原子力規制委員会の審査を受けなければならず、安全性は担保されるなどと説明する。

 高市早苗科学技術政策担当大臣は2月28日の記者会見で「原子力利用に関する基本的考え方に、国民生活や経済活動に直結するエネルギーの安定供給やカーボンイントラルに向けた対応などの必要性を踏まえ、原子力エネルギーの活用を図っていくことが重要である旨などが記載されている」などと原発利用に政府責任を盛り込んだことも説明した。

 高市大臣は「原発再稼働、長期利用、革新炉の開発、放射性廃棄物の処理などの課題を含め、原子力利用に関する基本的考え方がまとめられている」と述べた。

 高市大臣は「原発のエネルギー利用に限らず、医療・工業・農業など様々な分野での放射性利用、研究開発、人材育成を含め、考え方をまとめている。安全確保を大前提に、原子力の活用を進めて頂きたい」と推進する姿勢を顕著にした。(編集担当:森高龍二)