4年振りに訪れた、マスクのいらない夏休み。連日の猛暑も何のその、海や各レジャー施設は多くの人で溢れている。JTBが発表した2023年夏休み(7月15日~8月31日)の旅行動向の推計では、国内と海外をあわせた総旅行人数は7370万人。前年比17.8%増、2019年比3.3%減となっており、コロナ以前の夏休みの人出が戻りつつあるようだ。
しかし、全国で40度に迫る災害級の暑さが続いていることから、特に屋外のレジャーでは熱中症のリスクも懸念される。総務省消防庁の発表では、2023年7月17日~7月23日の期間の熱中症による救急搬送数はすでに9190人(速報値)にも上っており、8月にかけてさらに増加傾向にある。外でのレジャーを計画している人は、熱中症対策を怠らないよう、十分注意していただきたい。
そんな中、涼しい場所での夏休みの楽しみ方の一つとして、美術館へ足を運ぶ人も増えているようだ。夏休み期間中は、多くの美術館や企業ギャラリーなどで特別展が開催されており、実は穴場でもあるのだ。
例えば、東京丸の内の出光美術館では、8月5日から9月3日の約一か月間、「日本の美・鑑賞入門 しりとり日本美術」展を開催。日本の美術作品に繰り返し登場するテーマや図柄を、時代やジャンルを超えて見渡し、作品の共通点を見つけ出すことで、それぞれのイメージが、さながら「しりとり」のように連なって結びつき、鑑賞空間が深まる体験を楽しめる夏休み企画だ。日本美術に興味のある人はもちろん、子どもたちも面白く鑑賞できるのではないだろうか。
また、株式会社山田養蜂場(岡山県苫田郡鏡野町)の本社敷地内にある山田養蜂場ギャラリーでは、「ハチミツの日」に因む2023年8月3日から8月13日の10日観間限定で「~バルビゾン派の至宝~クールベ、ミレー、コローの描く世界」展を開催する。近世フランス画家であるミレーやコロー、ルソーなどバルビゾン派の作品を中心に、写実主義のクールベや、印象派のモネ、ルノワール、現代フランス絵画の巨匠ビュフェまで絵画の歴史に沿った展示で、今回の展示では、バルビゾン派をはじめとする貴重な19世紀の版画50点が新たに展示されている。実は、ミレーは養蜂家だったのでは?と言われており、彼が描いたミツバチの飛び回る自然や農村の風景は、山田養蜂場ギャラリーのある岡山県鏡野の原風景とも重なる。絵画とリンクした景色も楽しめるのではないだろうか。完全予約制で1回あたり先着50名、2時間限定の完全入れ替え制での公開となっているので、出かける前には予約を忘れないようにしてほしい。
他にも、多くの美術館やギャラリーで、子どもも大人も楽しめる特別展が開催されているので、ぜひ一度、調べてみてほしい。猛暑の夏休みの有意義な過ごし方の一つとして、お勧めだ。(編集担当:藤原伊織)