APEC 首脳の公式民間諮問団体・APECビジネス諮問委員会の日本委員が7日、岸田文雄総理に提言書を手渡した。「生成 AIに関して世界全体で積極的、協調的、協力的な政策対応をとる必要があり、そうした取組みがリスク軽減にも役立つ」としている。
提言の中で生成AIについて「マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの推計によると、生成 AI(genAI:Generative Artificial Intelligence)は年間7.9兆米ドルの経済効果を生み出す可能性があるが、同時に、早ければ2030年にも現在ある仕事の最大 50%を自動化し、仕事の性質を大きく変えることになる」と指摘。
そのうえで「このような変革には不確実性がつきもので、場合によっては人類の存続を脅かしかねない大きなリスクを伴う。こうしたツールの急速な進歩に加えて、相当規模の投資が行われ、ツールの普及が進んでいることから、世界全体で積極的、協調的、協力的な政策対応をとる必要がある」と提言。
具体には「APEC参加国・地域は生成 AI、大規模言語モデル、汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)に向けた動きに具体的に対処すべき」「研究開発への投資と協力強化はリスク軽減に役立つだろう」と提言。
このほか、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた具体的措置の実施、サプライチェーンの強靭性・連結性の強化、公正で現実的かつ野心的で持続可能なエネルギー・トランジション推進を提唱。
金融分野ではトランジション・ファイナンスを支援する相互運用可能な金融市場の整備や公正・安価なトランジションへの資金供給、持続可能なイノベーションへの資金供給、金融サービスにおける広範なデータ共有とプライバシー保護強化技術(PETs)の促進を求めた。
また女性や中小零細企業・先住民族など経済的潜在力を発揮しきれていない層に対する貿易の包摂性の増進、中小零細企業の持続可能な開発への参加促進、科学・技術・工学・数学分野への女性の進出の増進に関しても提言している。(編集担当:森高龍二)