“脳トレ”で有名な川島教授、バイクの運転が脳を活性化すると発表

2011年10月11日 11:00

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研究の成果を発表する川島隆太・東北大学加齢医学研究所教授

 バイクの運転が脳を活性化させるとの研究結果が発表された。

 高齢者が原因となる交通事故は年々増加傾向を示しており、認知症ドライバーの運転についても社会的な問題として捉えられている。先日も認知症ドライバーが原因の重大な事故の報道があり、今後増加する免許保有高齢者の中の認知症ドライバーへの対策が叫ばれている。

 そんな中”脳トレ”で有名な川島教授が「二輪車乗車と脳の活性化の関係」についての研究発表会を行った。

 この研究は、ヤマハ発動機との産学連携により東北大学加齢医学研究所が2008年5月より行ってきたもので、同加齢医学研究所・川島隆太研究室が様々な実験を重ね、研究データを集めてきた。09年3月に世界で初めてオートバイ運転時の脳(前頭前野)の活動を計測した研究の発表会が行われており、これが2回目となる。今回は、前回の研究発表時に集まったマスメディア等から要望が寄せられていた、四輪車や自転車などとの比較実験結果も含めた内容となった。

 その注目される比較実験ではクルマ(マニュアル、オートマ)、電動自転車、原付スクーター、中型スクーター、オフロードバイク、中型バイクと様々な乗り物を用いて、サーキット施設内において被験者の脳活動を計測、走行シーンごとの脳活動の違いを発表した。被験者は19歳から60歳までの32名で、幅広い年齢層のサンプルを集めている。結果として、マニュアル車・オフロードバイク・中型バイクの運転中は全般的に前頭前野活動が高い傾向であったとしている。

 また”自動二輪運転の習慣が認知機能と心の健康に与える影響の検討”と称した試験・では、自動二輪を生活の中で使うことで、様々な認知機能が向上し、脳と心の健康にポジティブな影響を与えるとした。そして、同調査の方では自動二輪を購入したユーザーの認知機能とメンタルヘルスの変化を計測しており、購入一ヶ月後・六ヶ月後のそれぞれの時点において、認知速度と脳機能全般が改善し、メンタルヘルスも一部の項目で改善が認められ、購入六ヶ月後においては使用頻度が週1から2回、もしくはバイクユーザーの認知機能が向上する傾向にあったとしている。

 他の実証実験も含め、今回の研究の総まとめとして、川島隆太教授は「バイクに乗っている高齢者が妙に若々しいのは、バイクに乗ることが脳機能を高めているから。また、ギア付きのビッグバイクに趣味で週1から2日乗ることは認知機能とメンタルヘルスに良い影響がある」と結論付けた。一方、ヤマハ発動機も今回の研究成果を受けて、バイク購入動機に繋がる要素として位置づけた。

 今回の研究が認知症改善や予防に繋がる入口のひとつであるという認識まではできる発表であり、今後、認知症ドライバーの事故防止にも役立つ研究にもなることを期待せずにはいられない。