自民党派閥による政治資金パーティー「裏金問題」で衆参82人に政治資金収支報告書への不記載や虚偽記載があり『裏金』としての不透明さは解消されないままになっている。
自民党は派閥幹部でありながら適切な対応を取らず政治不信を招いた者と政治資金収支報告書への不記載額が500万円以上などを党内処分の基準に39人の処分を検討中だが、「議員辞職勧告」がない党党紀での党内処分に加え、課税は免れたまま。抜け道だらけの状況をどう解消するのか、再発防止策へ真摯な対応が強く求められている。
自民党政治とカネの問題。少なくとも、カネの入りと出を記載する「政治資金収支報告書」は税理士など専門家の第3者によりチェックされる制度に法定化することが「信頼回復の1丁目1番地」といえるだろう。
この点で日本税理士連合会(太田直樹会長、本部・東京都品川区、会員8万692人)は4日までに政治資金収支報告の信頼性を担保するための提言ともいうべき「要望」を発表した。自民・公明は率先して是非、実現へ法定化することを期待する。
要望では政治団体以外の団体から政治活動に関する寄附を受けられる政治団体や政治資金パーティーを催す政治団体も税理士ら登録政治資金監査人による政治資金監査対象にするよう求めている。
国会議員関係政治団体の政治資金使途については収入が政党交付金に限定されていれば政党助成法により公認会計士又は監査法人の監査を受けるため適正性が担保される。一方で、収入に個人・会社等からの寄附金などが含まれる場合は外部専門家による監査を義務付ける法規定がない。このため透明性が損なわれる可能性は否定できない。
日本税理士連合会は「政治資金規正法の目的に立ち返り、政治活動が国民の不断の監視と 批判の下に行われるものとしてあらゆる政治資金の収支を明らかにし、透明性を担保することが必要」と提起した。
また監査範囲・監査方法についても実効性をあげるために「政治資金監査の範囲に収入を含めること」を求めた。会計事務に「現金受取時に領収書を発行し、控えの保管、現金出納帳作成と記帳の義務付け」「複式簿記による会計帳簿」「寄付者が寄付などの制限を受けるものでないことを自己宣誓したとみなす通知を寄付申込時に行う」などを規定するよう求めた。
日本税理士連合会は背景について「実態として政治団体には政治資金パーティーの開催等で相当額の収入が発生し、不記載収入の問題が生じている」としている。
このため「より適正な監査の実施と政治資金の透明化を図るには政治資金監査の範囲に収入を含めることを検討すべき」とする。監査の健全性や公正性・信頼性を確保するために「共同監査を義務付けることも検討すべき」とした。
加えて、政党交付金使途などの監査には同じ政治団体について継続できる監査期間を最長7年とし最短2年のインターバルを設けているとして、政治資金監査においても就任期間に上限を設けて信頼度を高めることを求めた。
注目されるには監査人選定スキームの透明性や報酬の指針を示すことも求め、監査人の質向上のための研修の受講義務や更新制度創設も提起した点。かなり実務的な制度設計を踏まえた要望になっており、国民に政治とカネの問題に真摯に向き合うとの政府・与党の姿勢を具体化するためにも政府・与党に特に熟考を求めたい。今月設置される衆議院政治改革特別委員会での議論も期待する。(編集担当:森高龍二)