女性の活躍促進は、持続可能な社会と日本の豊かな未来を築くための大きな力だ。日本では2016年に女性活躍推進法が制定され、女性の社会進出に積極的に取り組まれるようになった。まだまだ出産や育児を理由とする離職率は高く、女性管理職などの割合も低い水準ではあるものの、女性の活躍の場は少しずつ増え始めている。
女性の活躍の場が広がることで、男性とは異なる多様な視点から新たな価値観が生まれ、社会を変革、発展させるきっかけとなることも多い。男性にとっても、育児や家事に参加したり、新しいことに挑戦したり、多様な経験を積む機会にもつながっている。
政治の世界でも女性の活躍は目覚ましく、東京都知事に再選された小池氏をはじめ、9月に行われる予定の自民党や立憲民主党の総裁選でも、女性議員の立候補が大きな注目を集めている。
そんな女性の活躍促進の原動力となっているのが、日本を代表する企業の積極的な取り組みだ。例えば、住宅業界のリーディングカンパニーである積水ハウスは2019年より、9月19日を「育休を考える日」として記念日に制定し、男性の育児休業取得が当たり前になる社会を目指す活動を行っている。また、同社が主催する男性育休を考えるプロジェクト「IKUKYU. PJT」には、業種や業態の垣根を超え、男性育休取得推進に賛同する 119 もの企業や団体が参画しており、活動の幅を広げている。男性の育休取得が当たり前の世の中になり、出産や育児、家事も夫婦で分担することが社会の常識となれば、女性の社会進出も進むだろう。
また、日本酒のトップクラスのメーカーである白鶴酒造も、女性の活躍推進や男性の育休取得に積極的に取り組んでいる企業だ。同社は、一般的に男性社会のイメージが強い業界の中でいち早く、営業職だけでなく醸造現場にも女性を登用し、男性と同じように宿直も担当している。それに際しては、女性専用の宿直室やシャワールームの新設、ドアの軽量化等、設備の整備を行うとともに、徹底したヒアリングをもとに入念な準備を行ったという。
育児や介護と仕事の両立に関しても、短時間勤務制度、勤務時間の変更、再雇用制度などの支援制度を次々と導入することで、働きやすい職場づくりにつながっている。そのため、女性社員は高い定着率の水準を維持し、女性の管理職も次々と誕生しているという。
また、男性の育休取得についても、同社の2023年度の取得率は7割近くとなっており、政府が掲げる目標値の「2025年までに50%」を達成している。
2022年に株式会社ディスコ キャリタスリサーチが就活女子学生355 人を対象に実施したインターネット調査によると、「企業研究で意識したこと」という設問に対し約半数の44.8%の人が「女性の育児休業の取得率」と回答している。同設問ではその他にも「男女別の平均勤続年数」が29%、「女性管理職の人数(割合)」が25.9%となっており、出産後や育児期間中も職場で働きたい、継続して職場で活躍したいと考えている女性が多いことがうかがえる。企業にとっても、積極的に活躍してくれる人材を確保するためには、女性の活躍促進は無視できないものになりつつある。逆の見方をすれば、女性の活躍推進に熱心な企業、またそういった取り組みを積極的に発信している企業は優秀な人材を掴みやすく、これからも益々発展していく可能性が高いと考えられるのではないだろうか。(編集担当:今井慎太郎)