サッカーの女子ワールドカップドイツ大会で優勝して以来、なでしこジャパンの人気はとどまることをしらない。また今月、無敗で予選リーグを突破し、ロンドンオリンピックの出場権を獲得したことで、その注目度は今なお続いている。しかし、日本の女子サッカーがスポットライトを浴びるまでには長く険しい不遇時代があった。
1960年以降、日本ではサッカーを始める女性が少しずつ増えてゆき、全国各地にチームが誕生、小規模なリーグ対戦が行われるようになった。女子の全国リーグ「日本女子サッカーリーグ(L・リーグ)」が誕生したのは1989年。盛り上がるJリーグの影で地道だが着実な活動を続けてきた。しかし2000年、シドニーオリンピックの出場獲得を逃したことなどで女子サッカーへの関心は一気に低下。L・リーグの観客動員は減少の一途をたどり、リーグチームも多数解散。日本の女子サッカーは存続の危機に陥った。その後、2004年アテネオリンピック大会へ出場しベスト8に、2008年の北京オリンピックではベスト4になったことで、また少しずつだがその認知度あげていった。
しかし、これまでの国内リーグでは特に動員数が低く、またプロ契約している選手は皆無に等しかった。国内リーグは最高峰のなでしこリーグ、チャレンジリーグEAST、チャレンジリーグWESTに分かれているが、上位のなでしこリーグですら運営資金に苦慮している状態であった。チーム自体もスポンサーになってくれる企業が少なく、運営する資金を工面するのに苦労していたという。
ワールドカップ帰国後の7月31日、INAC神戸対岡山湯郷Belleの試合でなでしこリーグ史上はじめての2万人を超える動員数を記録。その後も各地域で行われているなでしこリーグの動員数はうなぎのぼりだ。澤穂希選手など人気選手が集まるINAC神戸は神戸市に本社を置くレジャー・飲食会社が母体となっているが、「サッポロ一番」で知られるサンヨー食品がスポンサーに名乗りを上げた。また、フリーキックの名手と呼ばれている宮間あや選手が所属する岡山湯郷Belleは21日、地元岡山の企業で蜂蜜やローヤルゼリーなどのミツバチ産品を販売している山田養蜂場がメインスポンサーとして協賛すると発表している。
この注目度が今後も持続すれば、女子の下部チームに対してもスポンサー契約が増える可能性がある。国内、海外試合での活躍はもちろん、スポンサーのコマーシャル展開などで選手及びチームをマスメディアに多く露出し認知度を広めることで、女子サッカーの人気を一過性のものでなく、不動のものにしたいところだ。