【コラム】比較第1、第2の自民、立憲は政権能力を高めよ

2025年09月14日 08:31

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衆参ともに少数与党。野党は多党化のうえバラバラというのが政界の現況と言わざるを得ない

 衆参ともに少数与党。野党は多党化のうえバラバラというのが政界の現況と言わざるを得ない。小選挙区制導入時に目指した「2大政党制」による政権交代の容易さによる政治の活性化はどこへ行ったのか。

 現況をみるにつけ「政権担当能力」を有する政党として、比較第1党の自民党、第2党の立憲民主党で比例票の50%を占める程度にまで、国民からの支持、信頼を高めていただきたい。

 そのためには自民党、立憲民主党ともに、政権への情熱を高め、目指す社会像を国民に分かりやすく提供する努力を衆院選挙実施数か月前までに必ず示してほしい。

 さきの参院選では自民党が比例で得た票数は1280万8306票、得票率で21.6%と前回参院選(2022年)時の得票率から12.8ポイントも後退した。立憲民主党も739万7457票と率で12.5%にとどまり、0.5ポイント減少させてしまった。1党、2党合わせても34.1%にとどまっている。

 自民の大敗の背景には裏金問題へのケジメをつけられなかった影響が大きい。一方で野党優勢の状況で立憲は議席を増やすことができなかった。自民大敗なら、立憲も事実上の敗北を喫した。第1党、第2党の政党がこのような状況では国家・国民をリードしていく力強さが生まれてこない。

 少なくとも衆院選挙までに両党共に党がめざす国家・社会の在り様を国民に示し、政治を動かす方向性を明確にしていただきたい。

 参院選挙を教訓に両党ともに「党の再生」を掲げた。視点は総選挙に向け動いているはず。立憲民主党は11日、衆院選挙に照準を合わせた「総合選挙対策本部」の立ち上げ準備に入った。

 野田佳彦代表は記者会見で「常在戦場のつもりでいかなければいけない。去年も石破総理は憲法7条解散に否定的だったのに、すぐに解散した経緯もある」と語った。
 
 自民党は石破総理の総裁辞任表明に伴い、総裁選を10月4日投開票で実施する。新総裁が決まれば「新総裁選出後に衆院解散の可能性はなくはないと思われる」と野田氏は参院選の二の舞は許されないとの強い危機感と緊張感を垣間見せた。

 野田氏は「今は中道が頑張らねばいけないのだと思う。存在感を示せるように頑張りたい」と記者団に語った。

 そして自民党総裁選出馬表明あるいは出馬予定にあがる顔ぶれに「1年前にも挑戦された人ばかり。1年前の敗者復活戦みたいなものでしょ。そのまま、前回と同じ主張だったら意味がない」と自民党も参院選で大敗した後だけに「(各候補が)どういう主張を展開してくるのか注目していきたい」と語った。

 自らは立憲代表として「政権担当能力のある政党であると国民の皆様に認めて頂けるよう努力する。穏健中道リベラルの政党として」政権政党を目指す考えを強調した。

 自民党の総裁選挙は今月22日告示、10月4日に国会議員の投票が行われる。フルスペックでする選挙で即日開票となる。これまでに出馬表明している、あるいは今後出馬表明する予定者にあがるのは茂木敏充前幹事長、林芳正官房長官、小泉進次郎農水大臣、小林鷹之元経済安全保障担当大臣、高市早苗前経済安全保障担当大臣の5氏。

 逢沢一郎総裁選管理委員長は12日、党HPニュースコーナーで総裁選に期待することとして「文字通り、解党的な出直しにつながる総裁選にしなければならない」とし「各候補者が参院選で問われた『自民党は何を目的としているのか』という存在意義を、広く国民に示し、再生への一歩を記す論戦を期待する」と発信している。それにこたえるものになるのか、22日からの論戦を注視していきたい。(編集担当:森高龍二)