週明け10日の東京市場は前週末の海外経済指標を反映した立ち上がり。7日に発表されたアメリカの雇用統計は失業率が7.7%、非農業部門雇用者数が14.6万人増と市場予測を超えて改善し、NYダウは81ドル高。9日に発表された中国の経済統計はおおむね景気後退のペースダウン、底入れ近しを示した。朝方の為替はドル円は82円台後半で、ユーロ円もイタリアのモンティ首相の辞意報道によるユーロ安からすぐに戻して106円台後半。円安基調が続き、始値は57.07円高の9584.46円で前週の高値を超えた。
しかし、上値は重くすぐ上げ幅圧縮。それでも午後1時過ぎまでプラス圏内で推移したが、後場は前日終値をはさんで浮いたり沈んだり。始値が最高値になる「寄り天」の尻すぼみで、終値は6.36円高の9533.75円だった。値上がり銘柄より値下がり銘柄のほうが多く時価総額の大きい大型株の下落が目立ったため、TOPIXはマイナスで引けた。
前場から経常収支、7~9月のGDP2次速報、法人企業景気予測調査、消費動向調査、工作機械受注速報、景気ウォッチャー調査など国内経済指標が続々と発表されたが、悪くても市場はほぼ無反応。最近の株高は「追加金融緩和期待と円安が背景の金融相場」という見方を裏付けた。売買代金は9444億円と7日ぶりに1兆円の大台を割り、総選挙前の見送り気分が漂っていた。
上昇セクターは非鉄金属、半導体関連、金属製品、不動産などで、コマツ<6301>、アドバンテスト<6857>、武田薬品工業<4502>、信越化学<4063>の上昇が目立ち、ファーストリテイリング<9983>も買われた。情報・通信は先週末の続きでNTTドコモ<9437>は上昇し、KDDI<9433>、ソフトバンク<9984>は下落。下落セクターは証券、電力、海運などで、野村HD<8604>、三井住友FG<8316>が下げ、電機の巨額最終赤字三兄弟のシャープ<6753>、パナソニック<6752>、ソニー<6758>は揃って下落。輸出関連株のホンダ<7267>、キヤノン<7751>も売られた。
公正取引委員会が一部店舗の譲渡を条件にベスト電器<8175>の買収を認めたヤマダ電機<9831>は、「8店舗譲渡」という条件は「多い」と受け止められたか18円安。13日に買収手続を完了する。半導体材料のSUMCO<3436>は通期見通しの最終利益を下方修正しながらストップ高の気配値がどんどん切り上がり、悪材料出尽くしでは説明しきれない動きを見せた。終値は100円高(+17.24%)で値上がり率ランキング1位に入った。
この日、売買高6位、値上がり率5位とランキング上位で目立ったのが福島銀行<8562>で、7円高で終値は71円。福島県の第二地銀で東邦銀行<8346>に次ぐ県内第2位の金融機関。特にニュースはないが「国土強靱化」で公共投資の集中が予想される被災地の復興関連株で株価が2ケタと割安で、しかも出遅れ感のある地銀セクターということで買われたか。同じ福島県の第二地銀で株価2ケタの大東銀行<8563>も5円高で値上がり率9位。東邦銀行は1円高だった。ダイユーエイト<2662>が大幅高でゼビオ<8281>も買われ、10日の東京市場は「福島県の日」だった。