自分好みのビール探し。ベルギービールを楽しむための第一歩はそこから始まる。
今年もそうだった暑い夏。街ではサラリーマンが、生ビールをグイっと飲む光景を当たり前の様に見る。日本人にとってビールとは喉越しを楽しむアルコールの定番的存在のものだが、せいぜいお店に置いてあるビールの種類は専門店でなければ5種類程度だろう。ではそこに、20種類ぐらいのビールが置いてあり、味もそれぞれが違うとしたら、一体どういう楽しみ方があるのだろうか。
ベルギービールは本国では140の醸造所があり、何と800種類以上の銘柄が存在する。本場のビアカフェは当たり前のように20から30種類の銘柄を扱い、お客さんは銘柄指定でビールを注文する。そして、そのビールにはこのグラスというように、銘柄毎にグラスも違う。まるでワインのような扱いでビールを楽しんでいるのがベルギー・スタイルだ。
これだけの種類が存在するのだから、味も多種多様だ。ベルギービールの最大の特長でもある多彩な味は、口の中だけではなく、香りや色なども楽しむことを基本としており、そこから自分のビールを探していく。
ベルギービール初心者は、まずタイプを知ることで、どのような種類が存在するかを理解し、そしてどのタイプを飲むか決め、その中の銘柄を五感で選んでみるというのがオススメだ。そこで出会ったビールをまずはじっくりと堪能することが第一歩となる。
ベルギービールのタイプと言えば、日本では良く知られる喉越しを楽しむ「ピルスナー」や大麦麦芽と小麦で造られ、フルーティな酸味の清涼感溢れるタイプの「ホワイト・ビール」、ベルギービールの代名詞的存在でもある、修道院内に醸造所を持ち、トラピスト派修道院でのみ造られる「トラピスト・ビール」、天然フルーツを漬け込んだり、フルーツジュースを加えた女性受けしそうな「フルーツ・ビール」など様々なタイプが存在し、それぞれのタイプにたくさんの銘柄が存在する。日本においても100種類以上の銘柄があるので、選ぶ楽しさも十分にある。選んだら、料理と一緒にじっくり味わってもよし、新たな出会いを求めるのもありだ。
また、希少なビールも存在する。年に一度、世界に50樽しか出荷しない「ズワンズ」という貴重なベルギービールがアジアで唯一、日本にも1樽だけ9月に上陸する。このビールは自然発酵させた酸味が特長の「ランビック・ビール」で、その中でも独特で風味の良い、全く新しく開発されたものだ。
このように、多くの銘柄が存在するベルギービールは、現在日本市場でも成功と言われる5%のシェアを獲得する(オリジナルビールを含む)ため、様々な啓蒙活動を行っている。9月11日まで東京・六本木ヒルズ・アリーナで行われている「ベルギービールウィークエンド東京2011」もそのひとつだ。新しいビールの楽しみ方を提案できるベルギービールが市場を活性化できるかその動向に注目していきたい。