東芝は、米国大手エンジニアリング会社ショー・グループ(The Shaw Group Inc.:以下ショー)の100%子会社であるニュークリア・エナジー・ホールディングス(Nuclear Energy Holdings)が保有するウェスチングハウス社の全持分(同社持株会社株式の20%)を取得。これにより同社は、ウェスチングハウス社の持分を87%保有することになるという。
ウェスチングハウス社は、2006年10月の同社による買収後、米国および中国で次世代型加圧水型原子炉「AP1000」の建設を10基受注するなど順調に事業を拡大。ウェスチングハウス社の事業は日本以外が中心で、米国・中国・英国・インド・ブラジル・東欧諸国等では、エネルギー安全保障、気候変動抑制のための手段として、東日本大震災後も引き続き原子力発電所建設を推進する姿勢が示されるなど、今後も、世界におけるAP1000建設受注の機会は増えることが期待されている。
ショーはこれまで、東芝およびウェスチングハウス社のパートナーとして、米国および中国のプロジェクトにおいて、AP1000の建設エンジニアリングを担当。今後もショーとは引き続き協力関係を継続し、既に受注している米国および中国の案件については予定通り工事完成に向けて注力していくことを両社間で合意している。今後のプロジェクトの建設エンジニアリングについても、ショーとの協業を検討していく意向だが、プットオプションが行使された後は、案件毎に新しいパートナーの選任も勘案する可能性があるという。特に、今後、事業機会の拡大が期待される欧州・南米・インド等の地域においては、現地企業等の参画が求められる場合もあり得、案件に応じて参画企業を検討していく。
なお、ショーは同社へのウェスチングハウス社持分売却にあたり、ニュークリア・エナジー・ホールディングスと同社との契約に基づく権利(プットオプション)の行使を決定したことを公表。ニュークリア・エナジー・ホールディングスは、ウェスチングハウス持株会社株式購入時に、円建て債権を発行している。今回のショーのプットオプション行使の決定は、昨今の急激な円高により同社の為替差損が増大したことなどによるものと、同社は認識しているという。