インドのタタ・グループと三菱重工がフィージビリティ・スタデイ実施

2011年08月30日 11:00

 三菱重工業は、インドのデリー・ムンバイ間産業大動脈構想(Delhi Mumbai Industrial Corridor:DMIC)の下、同社がコンソーシアムリーダーとして推進するスマートコミュニティ(環境配慮型都市)構築事業で、同国最大の財閥であるタタ・グループ(Tata Group)と共同でフィージビリティ・スタデイ(事業可能性調査:F/S)を実施することで合意し覚書(MOU)を締結した。

 DMICは、首都デリーと商都ムンバイ間の1,483kmに及ぶ広大な地域に900億米ドルを投じ、工場団地や発電所、空港、港湾、鉄道、道路、商業施設などを建設・整備する巨大なインフラ整備プロジェクト。今回の事業はその一環で、2009年12月の日印年次首脳会議での政府間合意を受け、省エネ・低炭素型のスマートコミュニティを構築しようというもの。経済産業省策定の「平成22年度インフラ・システム輸出促進調査等委託事業(グローバル市場におけるスマートコミュニティ等の事業可能性調査)」の下、同省が日本の6企業グループに検討を委託、初期事業化の検討が進められている。その一つである三菱重工コンソーシアムは、同社、三菱商事、三菱電機、Jパワー、三菱総合研究所の5社で構成。2010年度末に初期事業化検討結果を報告書として提出、今年度は、グジャラート州を対象にF/Sを継続委託されている。

 今回のタタ・グループとのMOU締結は、この三菱重工コンソーシアムの事業化検討にインドを代表する企業グループが加わるということであり、最先端の省エネ・環境技術の導入を軸にインドの経済成長と環境保護を両立させようというプロジェクトの、より現実的な検討を可能にする点で大きな意義がある。事業化検討の対象プロジェクトとなるのは、工場の省エネ化やエネルギー管理システム、工場排水・廃棄物処理から、リチウム電池採用の電気自動車・バスの実証や電力貯蔵システム、さらには太陽熱発電まで。いずれも各社が得意とする分野であり、それらを組み合わせることで、一層実現性が高まると考えられる。なお、コンソーシアムは2012年3月を目標に検討結果をまとめる予定だという。

 今後、同社はコンソーシアムを構成する4社およびタタ・グループと共同でこのプロジェクトを積極的に推進。日本の優れた省エネ・低炭素技術を活用した新たなビジネスモデルの創出を目指していく。