厚労省統計 実質賃金は上昇 進む基本給主導の賃上げ

2026年04月23日 16:38

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賃金は増えているのか 統計で見る実態

今回のニュースのポイント

2月の賃金は名目・実質ともに上昇:現金給与総額(名目賃金)は前年同月比3.4%増となり、物価の影響を差し引いた実質賃金も増加しました。

現金給与総額は29万8,542円:事業所規模5人以上の平均で、一人平均の現金給与総額は前年同月から3.4%の増加を記録しました。

実質賃金は前年比2.0%増:消費者物価指数の上昇(1.4%)を賃金の伸びが上回り、実質賃金指数は2.0%のプラスとなりました。

基本給にあたる「所定内給与」が牽引:一時的な特別給与(7.5%増)以上に、賃金全体の基盤となる所定内給与の伸び(3.4%増)が目立ち、賃上げの定着をうかがわせます。

 厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査(2026年2月確報)」は、日本の賃金構造が重要な局面にあることを示しています。2月の現金給与総額は前年同月比3.4%増の29万8,542円となり、物価の影響を考慮した実質賃金も2.0%の増加を記録しました。

 今回の統計で注目すべきは、賃金上昇の構成です。賃金は主に基本給にあたる「所定内給与」、残業代等の「所定外給与」、ボーナス等の「特別に支払われた給与」で構成されます。今回の伸びを牽引したのは所定内給与で、前年比3.4%増となりました。これは、一時金による調整だけでなく、ベースアップなど構造的な基本給の底上げが進んでいることをうかがわせます。

 一方で、雇用形態ごとのばらつきも見られます。正社員を中心とする「一般労働者」の現金給与総額が前年比3.9%増と伸びているのに対し、「パートタイム労働者」は1.6%増にとどまっています。ただし、パートタイム労働者の時間当たり給与(所定内)は前年比4.2%増と大きく上昇しており、人手不足を背景とした労働単価の引き上げは鮮明です。

 生活実感に直結する「実質賃金」とは、名目賃金指数を消費者物価指数で割って算出した、賃金の購買力(インフレ調整後の水準)を表します。今回の統計では、消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の上昇率1.4%に対し、賃金が3.4%伸びたことで、実質賃金は2.0%のプラスとなりました。家計の購買力は、統計上は改善方向に転じたことになります。

 さらに労働時間の変化も見逃せません。総実労働時間は前年比1.0%減少しており、「長く働いて稼いだ」のではなく、時間単価が向上したことによる賃金増の側面が強い状況が確認されます。

 この賃上げの背景には、深刻な人手不足や企業の賃上げ姿勢といった構造的な要因があります。常用雇用指数も前年比1.3%増と、雇用そのものも緩やかな拡大が続くなか、労働力を確保するための処遇改善が統計上も「雇用増と賃金増」のセットで現れています。

 今回の統計を総括すれば、「賃上げは着実に進んでいるが、その恩恵は均一ではない」といえます。一般労働者の改善が目立つ一方で、パートタイム労働者の月収ベースの伸びは緩やかであり、個々の働き方によって体感には差が出る可能性があります。

 今後の焦点は、この賃上げの流れが中小企業へどこまで波及するか、そして実質賃金のプラスが安定的に定着するかです。物価と賃金の好循環が本物になるか、引き続き注視が必要です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)