企業はなぜ慎重なのか 業績見通しに広がる不安

2026年04月22日 16:08

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増収企業は減少 原油高と物価が企業心理に影響

今回のニュースのポイント

「増収増益」見通しは3年連続で減少:帝国データバンクの調査によると、2026年度の業績を「増収増益」と見込む企業の割合は23.9%にとどまり、慎重な見方が広がっています。

最大の下振れ要因は「原油・素材価格」:業績を下振れさせる材料として「原油・素材価格の動向」を挙げた企業が52.1%に達し、前回から18.6ポイントも急上昇しました。

中東情勢が企業心理を直撃:2月末のイランへの軍事攻撃やホルムズ海峡の封鎖懸念など、緊迫する中東情勢が、エネルギー価格高騰やサプライチェーン混乱の大きなリスクとして意識されています。

業種間の「二極化」が鮮明に:金融や半導体関連が堅調な見通しを示す一方、コスト増と買い控えの板挟みにある小売業では厳しい認識が際立っています。

 企業の景気認識に、変化の兆しが見えています。帝国データバンクが公表した最新の「2026年度の業績見通しに関する企業の意識調査」によると、増収増益を見込む企業の割合は23.9%にとどまり、一方で減収減益は22.6%と3年連続で増加 。両者がほぼ拮抗する状態となっており、日本経済の先行きに対して企業が警戒感を抱いている実態が明らかになりました。

 企業がこれほどまでに慎重になる最大の下振れ要因として挙がっているのが、「原油・素材価格の動向」です。下振れリスクとしてこれを挙げた企業は半数を超え、前回調査から急上昇しました。背景にあるのは、2月末に発生した米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃に端を発する中東情勢の緊迫化です 。ホルムズ海峡の封鎖懸念などは、単なる地政学リスクの域を超え、日本のエネルギー供給を脅かす直接的な「企業心理の冷え込み」に直結しています。

 ここには、負の連鎖につながる可能性がある構造が見られます。原油高は物流コストや電力コストを押し上げ、最終的な商品価格へと転嫁されますが、度重なる値上げに敏感になった消費者は「買い控え」に走り、結果として企業の売上が減少する懸念があります。企業はこの「コスト増による収益圧迫」と「消費低迷による売上減」という二重苦をリスクとして強く意識しているのです。

 さらに深刻なのは、供給側の不安定化です。現場からは「商品の入荷遅れが深刻で、売れているのに現金化できない」「注文した数量が入ってこない」といった声が上がっており、原材料不足や物流の停滞がすでに実体経済に影響を及ぼし始めています。

 こうした環境下で、企業の「二極化」も鮮明になっています。調査でも、「増収増益」見通しは金融や精密機械、情報サービス、電気機械などが上位を占めた一方で、「減収減益」の上位10業種中6業種が各種小売業となりました。半導体投資の恩恵を受ける業種が堅調な一方で、生活に密着した小売業は「減収減益」への不安を強めています。

 今回の調査で注目すべき本質は、企業が中東情勢悪化や原油高による最悪シナリオを、明確なリスクとして強く意識し始めている点です。過去数年、実績が見通しを上回る傾向が続いてきましたが、今回の中東リスクは不確定要素が多く、企業の投資判断や採用、賃上げの勢いを鈍化させる可能性を孕んでいます。

 今後の焦点は、外部要因である原油価格や中東情勢がどこまで落ち着きを見せるか、そして国内で実質賃金の改善による「消費の好循環」がリスクを打ち消せるかに集約されます。日本経済が本格的な成長軌道を維持できるのか、それとも外部ショックに屈するのか。企業の慎重な姿勢は、まさにその瀬戸際にある現状を物語っています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)