今回のニュースのポイント
中部電力の2026年3月期決算は、親会社株主に帰属する純利益が2,277億円となりました。JERAの火力事業改善により、持分法投資利益が947億円へ拡大したことが増益に寄与しました。一方で浜岡原発の審査を巡る不適切事案で88億円の費用を計上。来期予想は中東情勢による燃料価格の不透明感から未定とし、年間配当は前期並みの70円を予定しています。
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中部電力が発表した2026年3月期決算は、浜岡原子力発電所が新規制基準適合性審査の途中段階で長期停止している状況下でも、安定した収益基盤と財務体質を維持している構造が改めて示されました。当期の売上高は、燃料費調整額や再エネ賦課金相当額の減少などにより3兆5,460億円(前期比3.4%減)となりましたが、経常利益は2,910億円(同5.3%増)と増益を確保しました。
高収益の牽引役となったのは、東京電力ホールディングスと共同出資するJERAです。世界規模で燃料調達やトレーディングを行うJERAでは、石炭やLNGの調達競争力向上や火力発電事業の収益改善が進みました。その結果、中部電力の営業外収益に計上される持分法投資利益は947億円に達し、経常利益の約3分の1を占めるまでに拡大しています。
また、機能分社化された各事業も底堅く推移しています。小売・サービスを担う中部電力ミライズは、電源調達ポートフォリオの最適化やガス販売の拡大により1,379億円の経常利益を計上。送配電を担う中部電力パワーグリッドも、需要減少や設備維持費増をこなしつつ、475億円の利益を安定的に確保しました。これらグループ中核会社の収益に、ガス・海外事業等の利益も加わり 、原発停止下でも安定した収益水準を維持しています。
懸念材料は、長引く浜岡原子力発電所の再稼働問題です。当期、新規制基準適合性審査における基準地震動策定に関して、説明内容と異なる方法で評価が実施されていた疑いがあるとして、原子力規制委員会が審査を停止しました。これに伴い、審査関連業務の委託契約解約等による費用88億円を計上しており、再稼働に向けた道筋は一段と不透明感を増しています。
今後のリスクとして同社が注視するのが、中東情勢の緊迫化です。ホルムズ海峡を含む中東情勢によって燃料価格や調達環境がどう変化するかが見通しにくいとして、2027年3月期の業績予想については「未定」としました。自己資本比率41.0%という電力会社の中でも高い水準の財務基盤を背景に、地域電力会社の枠を超えた総合エネルギー企業への転換を進められるかが、今後の焦点です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













