いよいよ来月に迫ったダイハツの新型車の発売。「e:S(イース)テクノロジ-」が注ぎ込まれたクルマの走りは一体どんなものなのだろうか。
JC08モードでの30km/Lの低燃費と80万円を切ると言われている(エントリーモデル)低価格が話題となっているダイハツの新型車。これらを実現するために同社は、新型エンジンと従来のタイプより性能アップしたCVTを搭載した”パワートレインの進化”、「ミラ」と比較して約60kgの軽量化(同社調べ)や走行抵抗の低減などによる”車両の進化”、停車前でのアイドリングストップ機能を持つ新しい『eco-IDLE(エコアイドル)』と減速エネルギーによる発電機能を持つ新型バッテリーの採用による”エネルギーマネジメントシステムの進化”と3つの技術革新である「e:Sテクノロジ-」を注ぎこんだ。
さて今回、新型車は発表前であるため、プロトタイプの試乗を行う機会を得たので、実際のドライブはどのようなものなのかをレポートしてみたい。
カモフラージュペイントされたボディは、2009年東京モーターショーで出展されていたコンセプトモデル「e:S(イース)」とは外見も違う。一番分かりやすい視覚的な箇所は3ドアが今回は5ドアになっていたところ。そこから考えると、「ミラ」と比べて60kgの軽量化が図られているとは凄い。
車内に乗り込み、燃費計測器のデータを注視しながら、特設会場に造られたコースを数周に渡り、計3回試乗した。まずはドライバーズシートの周りの空間に驚く。かなり体格の良い人でも居住スペースにゆとりを感じられると思われるつくりだった。足元も広く窮屈な感じは一切ない。
そして実際のドライビングだが、1回目の試乗は街乗りを想定して運転してみる。燃費は22から25km/Lを推移、実燃費でこの数字が出ることに、まず感心していたが、2回目の試乗でエアコンを切ったエコランをした時は最初の周回を除き、全て30km/Lを超え、最高で34km/L超えを叩き出した。3回目は窓を開け空気抵抗を多少受けたり、エアコンを再び使用しエコランしてみたりと様々な走りを試してみた。結果はバラつきがあったものの、20km/L台中盤から後半をコンスタントに計測していた。
ハンドリングに関してはクイックレスポンスというわけではなく、コーナーでもごくごく普通に入り、そして立ち上がっていく。ドライバーの意思が伝わり、安心感を与えてくれるハンドリングができるので、万人受けするのは間違いない。
モード燃費30km/Lを体感できたことに加え、決して窮屈ではない居住性など、実際試乗を終え、”第3のエコカー”は期待以上のものを提供してくれた。HVやEVに対抗しうる武器を十分に備えたダイハツの新型車は、軽自動車の存在意義を改めて明確にし、消費者の選択肢を広げてくれるに違いない。