エイジングケアは「成分」から「設計」へ 化粧品市場で広がる「肌土台」という競争軸

2026年06月27日 13:05

画:取:事前シミュレーションで問題なし 育休明けの職場復帰

街を行き交う人々。エイジングケア市場では、ビタミンC誘導体やナイアシンアミドなど主要成分の定番化が進み、「肌土台」や「肌環境」といった設計思想を軸にブランドの差別化を図る動きが広がっている。

今回のニュースのポイント

ビタミンC誘導体やナイアシンアミド、セラミドといった主要な有効成分や美容成分は、現在のエイジングケア市場において定番の共通基盤として定着しています。こうしたなか、近年は単に「どの成分を配合するか」という配合競争から一歩進み、各社が打ち出す「肌土台」という考え方や、「肌環境」「バリア機能」といった、肌老化対策をさらに意識した背景を重視する動きを前面に打ち出すブランドが増加しています。飽和する化粧品市場において、競争の軸が配合成分から包括的なアプローチへと静かにシフトしつつあります。

本文
 現在のエイジングケア市場では、ビタミンC誘導体をはじめ、ナイアシンアミド、セラミド、ヒアルロン酸といった高機能成分が数多くの商品に広く採用されています。これらは美白や保湿、ハリ感を目的として広く採用される代表的な成分として定着し、消費者にもその効果や役割が広く認知される存在となりました。

 しかし、こうした定番成分の普及は、裏を返せば主要な美容成分が市場全体の共通基盤となったことで、企業は配合成分ではなく「肌全体をどう捉え、化粧品を設計するか」という「ブランドそのものの主義・主張への共感性」を競う段階へ移りつつあることを意味しています。特定の成分を配合しているという事実だけでは商品の差別化や独自性の証明になりにくい時代を迎え、市場の競争軸は次のフェーズへと移行しています。

 こうした市場環境の変化に対し、各社は肌のコンディションを捉え直す独自のコンセプトを打ち出し、多様なアプローチで差別化を図っています。
たとえば株式会社山田養蜂場のアピセラピーコスメティクスでは、加齢により肌の生まれ変わりが滞る大人の角層細胞のメカニズムに着目し、希少なデセン酸を含むローヤルゼリー由来の独自開発保湿成分を活用。潤いに満ちた健やかな角質層を「美肌土台」と名づけ、そこへのアプローチを前面に掲げた商品開発を行っています。

 また、再春館製薬所の「ドモホルンリンクル」は、独自の年齢肌研究を軸に肌本来の力を引き出す継続的なケアや長年のコラーゲン研究の成果を前面に打ち出しており、ファンケルは肌へのストレスを低減させる無添加化粧品を軸に、うるおい保持の徹底と肌環境への配慮によるバリア機能の重視を徹底しています。

 各社がそれぞれ異なる研究背景や独自素材を持ちながらも、「肌土台」や「肌環境」など、肌全体のコンディションを重視する設計思想を前面に打ち出す動きが共通して見られます。

 この動きは化粧品市場における競争軸が「何を入れるか」という足し算の競争から、「加齢で変化していく肌に美容成分が働きやすい状態をどうつくるか」という考えへの移行を物語っています。かつての市場では、話題の有効成分そのものが流行を作り出し、商品の付加価値を決定づける主因でした。しかし現在、高機能成分が市場全体の共通基盤となったことで、ブランドが競うべき領域は成分の認知度ではなく、各社がコンセプトとして掲げる「肌環境」や「バリア機能」のコントロールを通じて、いかに持続的な健やかさをサポートできるかという包括的な商品設計へと移りつつあります。

 この競争軸の転換は、消費者がエイジングケア商品を選ぶ基準の変化とも深く連動しています。以前のブームに見られたような、特定の美白成分や強力な保湿成分による短期間での変化を追い求める消費行動から、現在は「肌への負担が少ないか」「毎日ストレスなく続けられるか」「長期的なコンディション維持につながるか」といった、毎日の積み重ねによる持続可能な肌環境の維持へと視点がシフトしています。

 エイジングケア市場では、配合成分そのものが競争力になる時代から、肌のメカニズムをどう捉え、長期的なコンディション維持を支えるかという総合的な価値提案へと競争軸が移りつつあります。機能だけでなく体験や継続性を重視する消費行動の広がりは、化粧品市場にとどまらず、食品や健康、ウェルネス産業全体にも共通する付加価値競争の新たな方向性を示唆しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)