サントリー、男性UV市場へ本格参入 「中高年美容」拡大映す

2026年05月16日 10:20

l_15046-1

サントリーウエルネスは、男性向けスキンケアブランド「VARON」からUV美容液を発売しました (画像出典:サントリーニュースリリースより)

今回のニュースのポイント

サントリーウエルネスは、男性向けスキンケアブランド「VARON」からUV美容液を発売しました。酒類メーカーのイメージが強いサントリーですが、健康食品やシニア通販基盤を活用し、中高年男性市場を深掘りしています。高齢化や清潔感需要を背景に、男性美容市場は“若者向け”から“中高年向け”へ広がり始めています。

本文
 サントリーグループで健康食品や化粧品事業を展開するサントリーウエルネスは、40代以上のミドル・シニア層を対象としたメンズスキンケアブランド「VARON(ヴァロン)」から、大人の男性向け日焼け止め「VARON UV エアー プロテクター」を発売しました。国内最高水準の紫外線防御力(SPF50+、PA++++)と耐水性を備え、汗や水に強くベタつかない軽い塗り心地を実現。同ブランドの中核である「オールインワンセラム」がメンズ整肌料市場の保湿ケアカテゴリーで3年連続売上No.1を獲得し、2025年のブランド売上高が63億円(対前年比131%)と急成長を遂げる中、新たにUVケア領域への本格参入を果たしました。

 今回の新商品投入の背景には、国内の化粧品市場が成熟局面を迎える一方で、中高年男性という未開拓の巨大なニッチ市場が拡大している事実があります。かつての男性美容は若年層の「若返り」や「メイク」が中心でしたが、近年のオンライン会議の普及や高齢社会における就労長期化に伴い、ミドル・シニア層の間で「身だしなみ」や「清潔感」を維持するための実用美容需要が高まっています。VARONは過度な装飾ではなく、乾燥やシミ、肌老化の予防といった具体的な課題解決を提示。さらに、サントリーが飲料研究で培った「ウーロン茶エキス」などの独自素材を転用することで、食品会社ならではの研究開発力を価値に接続しています。

 ビジネスモデルの観点から見ると、サントリー独自の顧客基盤(プラットフォーム)の強みが際立ちます。「セサミン」に代表される健康食品の通信販売を通じて蓄積された膨大なシニア男性顧客のデータベースは、他社が容易に真似できない強力な資産です。スキンケア未経験だった40〜70代の既存顧客に対し、健康維持の延長線上で身だしなみケアを提案する「クロスセル(関連購買)」を機能させることで、高い顧客獲得効率とブランドロイヤルティを両立。サントリーは単なる「飲料・酒類会社」から、個人のウェルネスや日常の生活質を高める「ライフスタイル提案企業」への事業領域拡大を進めています。

 現在、物価高による生活防衛意識から消費全般には慎重姿勢が広がっています。しかし、健康や睡眠、美容といった自己投資領域や、低刺激かつ手軽にケアを完了できるオールインワン型の簡便需要への支出は底堅く推移しています。ロレアルなどの海外大手もメンズ領域を強化し、国内化粧品メーカーとの競争が激化する中、シニア層の信頼を先んじて掴んだサントリーのプラットフォーム戦略の優位性は小さくありません。女性中心だった化粧品市場の構造変化を促す「中高年男性消費」という新潮流において、サントリーがどこまで市場シェアを拡大できるか、今後の動向が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)