ボーナスは「貯める」から「増やす」へ 投資家調査が映す資産形成の変化

2026年06月27日 13:24

ボーナス使い道

三井物産デジタル・アセットマネジメントの調査では、5年前と比べて夏のボーナスで「投資」が増えたと回答した人は60.8%となり、「預貯金」の21.1%を大きく上回りました。投資サービス利用者を対象とした調査で、資産形成意識の変化がうかがえます。

今回のニュースのポイント

三井物産デジタル・アセットマネジメントの調査によると、同社サービス登録者では、5年前と比べて夏のボーナスで「投資に回す割合が増えた」と答えた人が60.8%に達し、「預貯金」の約3倍となりました。30~40代でその傾向が特に強く、投資経験が長いほど株式や投資信託だけでなく、債券やデジタル証券へ資産を分散する動きもみられました。一方、この調査は投資サービス利用者を対象としており、一般消費者全体の傾向ではない点には留意が必要です。

本文
 まとまった資金が得られる夏のボーナスは、これまで預貯金に回すか、あるいは日用品の購入、旅行などの消費行動に充てるケースが多くみられてきました。しかし、資産形成への関心が高まる現在の経済環境下において、個人の資金配分のあり方には変化の兆しが表れています。三井物産デジタル・アセットマネジメントが運営する投資サービス「ALTERNA(オルタナ)」登録者を対象とした「夏のボーナスの使い方に関する実態調査(2026年)」の結果からは、資産形成に対する個人の意識の変化が浮かび上がってきます。

 今回の調査において特徴的なのは、5年前と比較して特に増えた使い道(複数回答)として「投資」が60.8%で最多となり、21.1%にとどまった「預貯金」に約3倍の差をつけた点です。この資産形成への意識変化を牽引しているのが、30代(79.7%)や40代(71.1%)といった現役世代です。現役世代を中心に、個人の資産形成への関心の高まりを背景として、ボーナスを単なる一過性の消費原資にするのではなく、将来に向けた重要な投資資金として位置付ける傾向が強まっています。

 さらに、投資経験を積むにつれて、リスク管理の観点から投資対象を広げる「分散投資」の質的な変化も進んでいます。調査データによると、投資歴が長くなる(10年以上)につれて、投資対象は依然として株式や投資信託が中心である一方、債券(9.7%から18.6%へ)やデジタル証券(9.7%から19.6%へ)の組み入れが進む傾向が確認されました。これは単に「銘柄を増やす」分散から「資産クラスを広げる」分散へと移行している実態を示しており、相関性の異なる複数の資産へバランスよく分散配置する投資行動は、市場の変動に対応するための現実的なアプローチとして個人投資家の間で重視され始めています。

 一方で、この実態調査を経済データとして読み解く際には、その母集団が持つ固有の属性への配慮が欠かせません。本調査の対象者は、すでに「ALTERNA」への登録を済ませている投資関心層が中心(有効回答1,463件、金融資産1,000万円以上の回答者が約8割)であるため、この結果をそのまま日本の一般的な給与所得者全体の平均的なボーナスの使い道と捉えることはできません。それでも、投資に対して能動的な層の間において、資金を「預ける」という受動的な姿勢から、自ら「運用する」という自律的な行動への移行が加速していることを物語る、投資家層の動向を示す参考データと言えるでしょう。

 物価や金利の環境が変化する現代において、個人に求められるのは、単に「使う」「貯める」だけでなく、自らのリスク許容度に応じて「増やす」、さらには「分散して備える」という選択肢をどうポートフォリオに組み込んでいくかという視点です。今回の調査でも、最も大きな割合を占める使い道(単一回答)の首位は投資で39.8%となったものの、預貯金も24.9%と主要な選択肢として残っており、投資一辺倒ではない堅実な資金管理の姿勢も確認されています。個々のライフステージや年齢、金融資産の規模によって最適な資金配分は異なるからこそ、それぞれのライフプランやリスク許容度に応じた資産形成が重要になりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)