ここ数年、エネルギー問題への関心が高まるにつれ、その人気もジワジワと上昇している「薪ストーブ」。まだまだ一般的に認知度は高いと言えないが、その人気の理由について少し探ってみたい。
電力ピークが1日に2回あることからも、夏と比較すると難しいと言われる冬の節電。11月2日には政府が今冬の電力需給対策を正式に発表したこともあり、いよいよ本格的な節電対策が各方面で行われ始めている。そんな中、冬の暖房器具として日増しに注目を集めているのが「薪ストーブ」だ。数年前から、省エネ暖房対策として購入者が少しずつ増えていると言われているが、その価格や設置方法はまだまだ一般的に知られているとは言い難い。
人気が高まってきた理由として、”省エネ”"環境にやさしい”"炎のゆらぎによる癒し”などがよく言われているが、だからと言って安易に購入できないのもまた「薪ストーブ」である。
実際、市場に存在する「薪ストーブ」は、最近ホームセンターなどで見かける安価なタイプのものから、輸入ブランドの高額タイプのものまで、その種類は実に多い。初心者では購入店舗や設置工事などを、どのように段取りしていいのか分からない人も多いはずだ。例えば、ホームセンターで購入した場合は、設置工事の手配は自分でやらなければならないので、特に初心者には購入後のハードルが高いものとなってしまう。通販で購入することもできるが、結局は同じことだ。やはり初めて購入をする場合は専門店に相談するという選択肢も入れておくに越したことはない。数多くのメーカーを取り扱っていればなおさらだが、選び方から重要な煙突の工事を相談できるメリットがあるのが大きい。
そういった頼りになる専門店も、震災の影響で改めて「薪ストーブ」の良さが見直され、実用的な暖房器具として考えている消費者も増加傾向にあるなどの理由から、今冬の売れ行きには手応えを感じていると言う。
このような店舗購入以外にも、これから住宅購入をするという場合、薪ストーブを無料搭載できるという商品を販売する住宅メーカーも登場した。
住宅メーカーのアキュラホームは現在、自社のスマートハウス「ひふみ」に「薪ストーブ」を無料で搭載している。住宅自体が環境に配慮したスマートハウスであり、この住宅は井戸付き住宅としても話題を集めた商品だ。
暖房器具として、とても魅力のある「薪ストーブ」だが、購入の際のネックになると言われている”換気を気にする近隣への配慮”と”薪を置くスペースの確保も”考慮した上での設置が必要だ。住宅メーカーがその相談役として存在するのは、市場活性化のためにも今後は必要になるかもしれない。エコロジーなものだが、便利な時代に普及させるには現行の暖房器具との併用などの提案や、薪を準備するためのサポートなど、アドバイザー的な役割を持つ人材がもっと多く必要なのかもしれない。