利便性と環境に優しい輸送手段として、近年、鉄道の需要が世界的に高まっている。それに伴って、高い安全性や高速化、低振動、低騒音など、さらなる品質の向上が求められている。
そんな中、住友金属工業と住友商事は27日、200年以上の歴史をもつ米国の車輪・車軸のトップメーカーである「Standard Steel」の持株会社である「Steel Wheel Acquisition Corporation」を買収することを発表した。
今回の買収は、住友金属が掲げる「海外の成長市場での現地生産」という基本戦略の一環であり、世界最大級で大きな成長も見込まれる北米市場でのプレゼンスを高めることで、将来的に欧州やアジア諸国などグローバル市場への展開を行うための足がかりとすることを目的としている。
買収と同時に、住友金属は「Standard Steel」に、住友金属の独自技術であり、より高品質で精度の高い鉄道用車輪の製造が可能な車輪成型用回転鍛造機「SIRDプレス」や、素材となる鋼の高清浄度化技術などを技術移転していくことを発表している。これらの設備や技術移転によって、「Standard Steel」のハイエンド車輪市場での地位を向上させ、将来の米国高速鉄道プロジェクトの受注を目指す構えだ。