防災庁、発足へ政令を閣議決定 首相を長に防災大臣、関係省庁への勧告権

2026年09月28日 09:56

EN-a_009

政府は9月25日、防災庁の発足に向けた設置準備関係の政令を閣議決定した。新庁では内閣総理大臣を長とし、防災大臣には関係行政機関への勧告権が付与される。(画像は資料写真)

今回のニュースのポイント

政府は9月25日、防災庁の発足に向けた設置準備関係の政令を閣議決定しました。2026年7月17日に公布された防災庁設置法は、本体部分について2026年12月31日までの間に政令で定める日から施行すると規定されており、今回の政令決定によって新組織の発足に向けた実務・制度上の準備が具体化しました。新設される防災庁は内閣に置かれ、内閣総理大臣を長として国務大臣を充てる防災大臣を配置します。防災大臣には関係行政機関に対する勧告権が付与され、勧告を受けた機関側にはそれを尊重する義務が課されます。

本文
 政府は9月25日の閣議において、防災庁の発足に向けた設置準備関係の政令を決定しました。これにより、2026年7月17日に公布された「防災庁設置法」に基づく新組織の整備が本格的な実施段階へ移行します。同法は、2026年12月31日までの間において政令で定める日から施行することとされており、今回の政令閣議決定は組織新設の手続きを具体化する重要なステップとなります。新設される防災庁は内閣に置かれ、防災に関する内閣の事務を内閣官房とともに助け、各省庁にまたがる防災行政を円滑かつ迅速に遂行することを任務としています。所掌事務には、基本方針や計画の立案、大規模災害への対処、被災者や被災自治体への支援のほか、南海トラフ地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震への対策などが幅広く含まれます。

 新組織の構造において最も大きな特徴となるのが、明確な指揮統括体制と権限の設計です。防災庁の長および主任の大臣には内閣総理大臣が就任し、その下に国務大臣を充てる「防災大臣」を置きます。防災大臣は内閣総理大臣を助けて庁務を統括します。組織の実効性を担保するため、防災大臣には政策の遂行上特に必要があると認めるとき、関係行政機関の長に対して「勧告」を行う権限が与えられます。同法には、この勧告を受けた行政機関の長に対して「十分に尊重しなければならない」とする義務規定が盛り込まれており、さらに勧告後に講じた措置について報告を求めることも可能です。必要に応じて内閣総理大臣に意見具申を行う仕組みも整えられています。

 組織の編成にあたっては、これまで内閣府に置かれていた中央防災会議が防災庁へと移管されます。幹部体制としては、防災大臣を支える副大臣1人、大臣政務官1人に加え、行政実務のトップとして事務次官1人が配置されます。また、防災に関する研修や研究を行う文教研修施設として「防災大学校(仮称)」の設置が可能となるほか、地方機関として「防災局」を置く規定も設けられています。ただし、防災局の設置に関する規定は公布日から2年を超えない範囲で政令が定める日からの施行とされており、防災庁本体とは施行期日の規定が異なります。なお、原子力防災のみに係る一定の事務など、一部の行政事務については対象から除外されています。

 今回の再編は単なる役所の新設にとどまらず、災害対策基本法などの関連法改正を通じた行政理念の転換を伴っています。同法の基本理念には、科学的なリスク評価に基づく「事前防災」の推進や、被災者の「良好な生活環境の確保」が新たに明記されました。さらに南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝地震に関する特別措置法においても、最新のリスク評価や人口動態、技術進展に応じた基本計画の見直し義務が新設されています。

 7月の法律公布を経て、9月25日の政令閣議決定により、防災庁の発足に向けたプロセスは制度整備から実際の組織運営に向けた準備段階へと進みました。新庁は事前防災の計画立案から大規模災害への対応、被災者支援、復旧・復興まで幅広い防災行政を所掌し、関係行政機関への勧告権を持つ防災大臣を置く新たな体制となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)