災害時も「自宅で暮らし続ける」家へ 国交省、水・電気・在宅避難など27プロジェクト採択

2026年09月20日 10:25

国交省

国土交通省は、災害時にも自宅で暮らし続けられる住環境の実現に向け、水や電気の確保、在宅避難などに関する27プロジェクトを採択した。住宅の防災性能や災害後の生活継続を支える取り組みを後押しする。(画像は資料写真)

今回のニュースのポイント

国土交通省は2026年度「2050先導型住宅推進事業」の採択プロジェクトを決定しました。今回のテーマは「レジリエンス性の確保」です。地震や風水害などの自然災害が発生した際、建物自体の損壊を防ぐだけでなく、停電や断水が生じても居住や生活を維持できる住宅の普及に向けたモデルを支援します。公募に対して53件の応募があり、有識者による評価を経て27プロジェクトが採択されました。太陽光発電や蓄電池による電力自給にとどまらず、水・電気の確保、在宅避難、感染症対策など、災害後も住宅で生活を継続するための多角的な提案が揃っています。

本文
 国土交通省は2026年度の「2050先導型住宅推進事業」において、応募のあった53件の中から27プロジェクトの採択を決定しました。本事業は、2050年を見据えた良質な住宅ストックの形成を目指す国のモデル事業です。その上で今回の事業では、自然災害時等にも「居住継続・生活継続」が可能な住宅を対象とし、在宅避難につながるレジリエンス性の確保をテーマとしています。

 住宅の防災性能をめぐっては、従来から求められてきた耐震・耐久性能の確保を前提とした上で、被災後にその住宅で生活を継続できるかという点に着目した取り組みが進められています。

 採択された27プロジェクトを見ると、支援対象となる技術や提案は多岐にわたっており、各社が異なる視点からモデルを提案しています。電力を確保するための太陽光発電、蓄電池、V2H(電気自動車からの電力供給)システムの導入をはじめ、断水に備えた非常用貯水システムや井戸の活用といった水資源の確保、長期化する避難生活を見据えた在宅避難環境の整備、感染症対策や水害対応などの複合災害への備えが並んでいます。大和ハウス工業による水と電気の自立を目指すモデルや、積水ハウスによる空気環境の清浄化を盛り込んだ感染症レジリエンス住宅など、災害時の生活維持に向けた具体策も提示されました。これらは、住宅における災害対策の軸足が構造補強にとどまらず、生活インフラや健康管理を含めた複合的なリスク対応へと広がっている状況を示しています。

 さらに注文住宅ブランド「アキュラホーム」を展開するAQ Groupは提出した2つのモデルが採択。自宅を「共助の場(他者の避難拠点)」として機能させる構想も盛り込まれるなど、多様なアプローチがみられます。

 同社が提案した一つは「在宅避難完結型・次世代レジリエンス住宅」で、電気を自給自足しスマートホーム(HEMS/IoT)化し、屋内外の防犯カメラ、防災安全ガラス等の防犯対策を備えることで災害時、平常時ともに省エネかつ防犯性の高い暮らしを可能にします。 さらに、次世代レジリエンス住宅として、物理防御や復旧・回復を担う「社会・環境的要因(構造)」、生活継続を担う「身体的要因」、そして木の香りや全館空気清浄機を通じたメンタルケアを担う「精神的要因」の三軸からアプローチ。長期化する避難生活を見据えたモデルです。自宅を「共助の場(他者の避難拠点)」としても機能させ、避難所への移動が困難な中でも、自宅で生活を継続できる世帯は在宅避難をし、地域全体で避難機能を分散させる試みの一つと言えます。

 もう一つは「平常時は家計を守り、災害時は人命を守る『フェーズフリー住宅』先導モデル」で、太陽光発電や蓄電池、エコキュート、防災井戸などを基本設備とし、水と電気を自給自足。また、全館空気清浄機によってウイルスを除去した空気環境を実現します。平常時はエネルギーコストを抑えた健康でスマートな暮らしを提供し、発災後は家庭内感染を防ぎながら自宅をシェルターとして機能させる「平時の快適性と有事のインフラ途絶下での在宅避難・二次感染遮断」をフェーズフリーで両立させます。

 同社は採択された2モデルを棟数限定で展開し、国の制度に基づく1棟あたり50万円の補助についても案内しています。国の制度では、採択された計画に基づいて新築・リフォームされるモデル住宅に対し、レジリエンス性向上に資する工事を対象として1戸50万円の定額補助が行われます。

 今回の採択プロジェクトでは、モデル住宅に導入するレジリエンス措置について、効果を検証することが求められています。国交省は、災害が発生した場合に効果を検証できる方法に加え、災害が発生しない場合でも消費者へのインタビューやアンケートなどで検証できる方法を提示することを要件として設定。地震に耐える構造だけでなく、災害後の居住・生活継続につながる措置が実際のモデル住宅でどのように検証されるのかが今後の確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)