今回のニュースのポイント
住友化学と九州大学は9月28日、住友化学が開発するKNN(ニオブ酸カリウムナトリウム)薄膜基板を用いた光変調器において、180 Gbaudの超高速動作の実証に成功したと発表しました。変調効率を示す指標である「VπL」は0.7Vcm未満を記録し、次世代材料として開発が進むTFLN(薄膜ニオブ酸リチウム)光変調器の代表値(約2.0Vcm)と比較して約3倍の変調効率に相当します。生成AIの普及に伴いデータ伝送量と消費電力が急増するなか、半導体パッケージ内で電子デバイスと光通信部品を近接配置するCPO(コパッケージドオプティクス)など、次世代光電融合技術への応用を目指します。
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住友化学と九州大学は9月28日、住友化学が開発する無鉛圧電材料であるKNN(ニオブ酸カリウムナトリウム)の薄膜基板を用いた光変調器について、180 Gbaud(ギガボー)での超高速動作を実証したと発表しました。Gbaudは1秒間に実行可能なシンボル切り替え回数を表す単位で、180 Gbaudは1秒間に1800億回シンボルを切り替えられることに相当します。光変調器は電気信号を光信号へ変換する主要部品であり、データ伝送の高速化に向けた基幹技術となります。
今回の実証において、変調効率を示す指標「VπL(半波長電圧と電極長の積)」は0.7Vcm未満を達成しました。VπLは数値が小さいほど高い変調効率を示す指標です。住友化学によると、次世代の光変調器材料として世界的に開発が進むTFLN(薄膜ニオブ酸リチウム)光変調器において広く報告されている文献上の代表値は約2.0Vcmであり、今回のKNN薄膜光変調器の実証値はこれと比較して約3倍の変調効率に相当するとしています。高い変調効率により、駆動電圧の低減と素子の小型化が期待されます。
今回の開発背景には、生成AIの普及に伴うデータ処理の高速化・大容量化への需要があります。特に膨大な情報量を扱うAIデータセンターでは、電力消費や情報処理負荷が課題となっています。データ処理の高速化と消費電力の抑制を両立させるため、電気回路と光回路を一体化して信号伝送を光に置き換える光電融合技術の開発が進められています。特に半導体パッケージ内に電子デバイスと光通信部品を高密度に近接配置するCPO(Co-Packaged Optics)などの導入が検討されるなか、高い変調効率と超高速動作を兼ね備えた材料基板が求められています。
KNN薄膜はスパッタリング法によって形成が可能であり、住友化学は既存の半導体製造プロセスとの親和性が高い点を特徴として挙げています。同社は圧電MEMS(微小電気機械システム)向けにKNN薄膜の量産スケールでの製造技術をすでに保有しており、TFLN基板と比較してより低コストで製造できる可能性があると見込んでいます。性能面での実証に加えて、半導体プロセスへの適応性と量産基盤の蓄積を組み合わせることで、光通信分野での実用化に向けた開発を進める方針です。
なお、今回の研究成果は、光通信技術に関する国際会議「ECOC 2026」で、開催直前までに得られた最新かつ重要な研究成果を対象とするPost Deadline Paperに採択されました。住友化学と九州大学は、AIデータセンター等で求められる次世代光通信向けデバイスとしての実用化を目指し、今後もKNN薄膜基板を用いた光変調器の更なる性能向上と開発を推進するとしています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













