インドでは半導体製造工場の整備に加え、高純度ガスや化学品などの材料、物流・保管、先端パッケージング、SiCパワー半導体、人材育成まで、製造を支えるサプライチェーン構築の動きが広がっている。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
「SEMICON India 2026」の会期2日目にあたる9月18日、半導体関連で25件に及ぶ提携や成果発表が一斉に行われました。取り組みの対象は半導体製造(ファブ)の構築にとどまらず、高純度ガスや化学品などの材料調達、専用物流・保管、チップ設計、先端パッケージング、SiCパワー半導体、人材育成まで多岐にわたります。さらに同日には25件の枠組みとは別に、日本企業が関与する材料サプライチェーンの連携も提示されました。展示会場には600社超が出展し、このうち約300社を海外企業が占めました。インドでは製造工場を支えるサプライチェーン全体の構築に向けた動きが広がっています。
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「SEMICON India 2026」の2日目となる18日、会場では半導体産業の基盤強化に向けた合計25件の連携および成果発表が相次ぎました。今回の発表における大きな特徴は、単に半導体製造工場(ファブ)を設置・誘致するだけでなく、工場を継続的に稼働させるために不可欠な材料供給、特殊物流、後工程、設計、パワーエレクトロニクス、人材育成に至る周辺サプライチェーン全体をインド国内へ同時並行で構築しようとしている点にあります。
たとえば、製造ラインの運用に欠かせない特殊ガスや配管システムにおいては、タタ・エレクトロニクス(Tata Electronics)がアイノックス・エア・プロダクツ(INOX Air Products)との間で高純度ガスの現地供給網強化に向けた協力関係を確認したほか、マレーシアのケリントン(Kelington)とガス供給システムや高純度配管、製造装置の接続等で連携する覚書(MoU)を締結しました。
発表された25件の中には、日本企業が材料、物流、後工程などの分野で関わる案件も含まれています。
材料分野では、タタ・エレクトロニクスと住友化学がMoUを締結しました。タタがグジャラート州ドレラで建設を進める計画投資額110億ドルの半導体ファブに対し、フォトレジスト(感光材)や高純度過酸化水素、IPA、アンモニア水、高純度硫酸などの半導体用機能性化学品の供給検討を開始します。あわせて、タタ側が住友化学による将来的なインド国内での半導体材料・高純度化学品の製造検討を支援することでも合意しました。
物流分野でも日系大手との連携が動き始めています。インド半導体ミッション(ISM)はNIPPON EXPRESSホールディングス(NX HD)とMoUを締結しました。インド政府の公表では、高度な管理が求められる半導体分野の物流、専用倉庫、通関などに関するNX HDの専門知識を活用するとしています。
また同じ18日には、25件の政府発表枠組みとは別に、日本企業が関わる新たな連携も公表されました。タタ・エレクトロニクスは双日およびNRSの2社と、ドレラ工場向けの重要半導体材料の調達・保管・物流に関する協力枠組みを締結しました。タタによると同ファブの計画投資規模は9100億ルピーとなっており、双日とNRSが専用サプライチェーン管理の枠組みを検討・検証する計画です。
サプライチェーンの拡充は、先端メモリやCPUなどのロジック分野だけでなく、電力インフラや脱炭素に対応するパワー半導体分野にも及んでいます。発表の中では、電力容量1000メガワット(MW)級の実証計画が提示されました。インド電子・IT省、電力省、国営送電会社のパワーグリッド(POWERGRID)は、電圧形変換器(VSC)技術を用いた高圧直流送電(HVDC)システム向けに、炭化ケイ素(SiC)パワーモジュールの国産化で協力します。国産化されたSiCパワーモジュールは、ビハール州プサウリにある1000MW規模の送電プロジェクトで実証試験が行われる予定です。また、L&Tセミコンダクター・テクノロジーズも再生可能エネルギーやAIデータセンター向けに次世代SiCパワーモジュールの開発を進めると発表しました。
後工程(パッケージング)や設計分野においても、具体的な連携が相次ぎました。タタ・エレクトロニクスは日本のエノモトとMoUを締結し、アッサム州ジャギロードの半導体パッケージング施設を支援するため、先端パッケージング技術やリードフレーム製造の現地化に向けて協力します。ケイネス・セミコン(Kaynes Semicon)とインディ・セミコン(IndieSemiC)はQFNやBGAなどの先端パッケージの組み立て・テスト(OSAT)やSystem in Package(SiP)開発で連携します。また、インド開発のプロセッサとインディ・セミコンの通信モジュールを組み合わせたインド初の国産System-on-Module「ISC-VEGA-SOM」も披露されました。
資金投入と人材育成の基盤整備も進行しています。投資面では、インディア・ディープテック・アライアンスが国内のディープテック企業56社に対して総額2億6300万ドルの投資を実施した旨を報告しました。人材面では、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)と同組織が、業界主導の人材育成プラットフォーム「India Semiconductor Academy」の設立で連携します。マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)、シノプシス(Synopsys)、ケイデンス(Cadence)などがパートナー企業として名を連ねたほか、インド国立電子情報技術研究所(NIELIT)もシーメンスEDA、タタ・エレクトロニクス、シンガポール・ポリテクニック、SEMI Universityなどと相次いで人材育成の協力合意を発表しました。
「SEMICON India 2026」には世界52カ国から600社超の企業が出展し、海外企業がその約半数の約300社を占めました。初日の来場者数は約1万2000人を記録し、会期全体では約5万人の来場が見込まれています。会場内の日本とシンガポールの専用パビリオンにはそれぞれ30社以上が参加しました。
政府による支援枠組みの提示に続き、実際の現場では材料、物流、パッケージング、パワーデバイス、人材確保といった周辺サプライチェーンの実装に向けた動きが進んでいます。製造装置やファブ建設だけでなく、工場の継続稼働を支える材料、物流、後工程、人材などを含むエコシステムの現地構築も、インドの半導体産業政策の対象として広がっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













