英国、原潜整備へ浮きドック3基 数十億ポンド規模の海事投資、英国企業限定で調達

2026年09月29日 08:19

英国政府・造船所投資イメージ

英国の造船・海事産業基盤をイメージした港湾風景。英国政府は原子力潜水艦の検査や改修、修理に使用する浮きドック3基を導入し、英国企業限定の競争調達「Programme Euston」を進める(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

英国政府は9月28日、国内の造船・防衛エンジニアリング基盤を強化するため、数十億ポンド規模に上る一連の海事プロジェクトを進めると発表しました。その一環として、英海軍の原子力潜水艦を維持・整備するための新たな浮きドック(フローティングドック)3基を導入します。配備先はスコットランドのクライド海軍基地(HM Naval Base Clyde)で、現用および将来の原潜の検査、改修、修理を担います。政府は「Programme Euston」と称する本案件について、英国企業のみが参加できる競争入札を実施する方針です。併せて新たな海洋調査船の国内建造も決定しました。

本文
 英国政府は9月28日、国内造船業の持続的な成長と防衛基盤の強化を目的に、数十億ポンド規模の海事プロジェクトを推進すると発表しました。その一環として、英海軍が運用する原子力潜水艦の保守・点検体制を強化するため、新造の浮きドック3基を国内で調達・整備する方針を示しました。新設備はスコットランド西部のファスレーンに位置するクライド海軍基地(HM Naval Base Clyde)に配備され、潜水艦を水面上に持ち上げ、検査や改修、修理を行うための物理的インフラとして機能します。

 政府は今回の浮きドック調達を「Programme Euston」と命名し、参加資格を英国国内の事業者に限定した競争入札として実施する方針を示しました。政府は英国企業のみを対象とすることで、国内の造船所や関連企業への発注を通じ、造船・エンジニアリング能力や雇用を支える方針です。ウェス・ストリーティング国防相は、防衛支出を英国企業への発注につなげる考えを示し、Programme Eustonについて国内の造船所や労働者、エンジニアリングを支えながら英国の再工業化を促す取り組みと位置付けました。

 原子力潜水艦は就役後も長期間にわたる定期的な検査や改修、修理作業が必要となります。今回導入する浮きドック3基は、こうした維持・整備工程を支える国内の基礎インフラとなります。政府は、新設備が現在および将来の英国の原子力潜水艦隊の維持・整備を支えるとしています。

 さらに、一連の海事プロジェクトのもう一つの柱として、英国政府は新しい海洋調査船を国内で新造する方針も発表しました。現在使用されている調査船が耐用年数に近づいていることから後継船として整備するもので、魚類資源の評価や海底マッピング、汚染監視などの幅広い海洋調査を担い、自動化やロボティクス、AIなどの最新技術を活用します。運用開始は2031年または2032年を見込んでいます。調達にあたっては「Procurement Act 2023(2023年調達法)」の安全保障例外規定を適用し、英国の造船所のみを対象として実施されます。

 なお、英国政府は今回発表した海事関連施策の全体像について「数十億ポンド規模のプロジェクト」と説明していますが、浮きドック3基および海洋調査船の個別の契約金額や予算内訳は公表していません。「Programme Euston」は今後、英国企業限定の競争調達が進められますが、今回の発表時点で具体的な受注企業や建造場所、個別の契約金額は明らかにされていません。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)