英国政府は、国内のリチウム供給網強化に向け、抽出と精製の2案件への支援を原則提示。両案件による民間投資は計約2億3000万ポンドとなる見込みで、国内での重要鉱物の生産・加工能力強化を後押しする。(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
英国政府は、国内におけるリチウム供給網の構築を目指す2案件に対し、政府支援を原則提示(Offer in Principle)したと発表しました。提示額はGEL(Geothermal Engineering Limited)が1000万ポンド近く、Tees Valley Lithiumが1830万ポンドで、単純合算すると約2830万ポンド(編集部計算)となります。前者はコーンウォール州での地熱かん水からのリチウム抽出施設(総事業費約4300万ポンド)、後者は精製施設(総事業費1億8500万ポンド)への支援方針です。英国政府は、両案件によって計約2億3000万ポンドの民間投資につながるとしています。GELの施設は2029年からの商業生産を目指し、年間約1500トンのテクニカルグレード炭酸リチウムを生産する計画です。
本文
英国政府は、電動化時代における重要鉱物の国内供給網を強化するため、国内のリチウム関連プロジェクト2案件に対して新たな資金支援枠組みを適用し、支援方針を選定したと発表しました。提示された公的支援額は、Geothermal Engineering Limited(GEL)のプロジェクトに1000万ポンド近く、Tees Valley Lithiumのプロジェクトに約1830万ポンドとなっており、2案件への原則提示額を単純合算すると約2830万ポンドに上ります。政府発表によると、両案件による民間投資額は計約2億3000万ポンドとなる見込みです。なお、今回の政府資金提示は「Offer in Principle(原則的な提示)」の段階であり、今後の詳細なデューデリジェンス(精査)や最終承認などを条件とする支援方針となります。
主軸となるGELのプロジェクトでは、イングランド南西部のコーンウォール州において総事業費約4300万ポンドを投じ、地熱かん水(地下深部の地熱水)からリチウムを抽出する商業施設の建設を予定しています。施設は2029年からの商業生産開始を計画しており、年間約1500トンのテクニカルグレード炭酸リチウムを生産する能力を持つ設計です。英国政府の換算によると、この年間生産量は一般的な電気自動車(EV)用バッテリー18万台超分に相当する規模となります。雇用面においては、同施設で約50人の直接雇用を生み出すほか、関連するサプライチェーン全体でさらに約80人の雇用を支える見込みです。なお、将来的には年間数万トン規模への生産拡張の可能性も示されていますが、これは現時点での確定した能力ではありません。
今回の発表におけるもう一つの柱が、Tees Valley Lithiumによる精製施設の整備計画です。同社は1億8500万ポンドを投じた精製プラントの整備を進める方針で、英国政府はこれに対して約1830万ポンドの支援方針を提示しました。地熱かん水からリチウムを抽出するGELの案件と、Tees Valley Lithiumによる精製施設の案件を並行して支援することで、英国政府は国内生産の拡大とリチウムの精製能力を含む供給網の強化を進める考えです。
今回の公的支援は、英国政府の自動車産業育成・脱炭素化政策「DRIVE35」の一環である「Automotive Transformation Fund(自動車変革基金)」を通じて実施されます。DRIVE35は、2035年に向けて設備投資や研究開発への助成金として40億ポンドを提供し、民間投資を引き出して自動車産業のゼロエミッション車(ZEV)移行を支援するプログラムであり、今回のリチウム支援もその枠組みに位置づけられます。
今回の2案件は、重要鉱物の国内生産拡大を掲げる英国が、リチウムの抽出と精製の双方で民間設備投資を政府支援によって後押しする事例となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













