英政府、熱供給網に9000万ポンド支援 ロンドン4100万ポンドで50億ポンド投資喚起へ

2026年09月24日 09:21

ロンドンイメージ

英国政府は地域熱供給網の新設・改修に総額9000万ポンドを支援。ロンドンでは4100万ポンドを「London Strategic Heat Main」に配分し、最大65万戸相当への熱供給を想定する基幹熱輸送網の整備を後押しする。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

英国政府は9月23日、地域熱供給網の新設および既存設備の改修に向けて総額9000万ポンドの公的資金を支援すると発表しました。全事業を通じ75万戸超の住宅が低炭素型熱供給網の新設や改修による恩恵を受け、2000人超の雇用創出を見込んでいます。採択案件のなかで最大の支援先が、ロンドンの「ロンドン・ストラテジック・ヒート・メイン(LSHM)」プロジェクトに対する4100万ポンドです。事業主体のコリー(Cory)社が進める本構想は、ロンドン東部外縁部の余剰熱を中心部へ届ける大規模な基幹インフラです。英国政府は基幹幹線の整備支援を通じ、ロンドン全域で約50億ポンドの地域熱供給網への投資が呼び込まれると見込んでいます。

本文
 英国政府(エネルギー安全保障・ネットゼロ省)は9月23日、英全土における家庭や事業所の暖房・給湯の脱炭素化を加速させるため、地域熱供給網の新設や既存設備の改修を後押しする総額9000万ポンドの公的支援枠組みを決定したと発表しました。本資金拠出により、75万戸超の住宅が新設・改修される熱供給網の恩恵を受け、全事業で2000人超の雇用創出を見込んでいます。

 今回の発表で最大の案件となるのが、廃棄物・エネルギー大手のコリー(Cory)社が主導する「ロンドン・ストラテジック・ヒート・メイン(LSHM)」プロジェクトへの4100万ポンドの割り当てです。本構想は、ロンドン東部外縁部のベクスリーにある同社の廃棄物発電施設で発生する大容量の余剰熱(温水)を回収し、熱需要の高いロンドン中心部など11行政区へ熱を長距離輸送する、全長20キロメートル超の基幹熱輸送網を整備する計画です。最大65万戸相当の給湯・暖房需要をカバーする供給能力を想定しています。

 本支援のポイントは、4100万ポンドの公的資金が、ロンドン全域で約50億ポンド規模とされる地域熱供給網への投資を呼び込む(unlock)触媒となる点にあります。ロンドン中心部は建物が密生し膨大な熱需要が存在する一方で大規模な余剰熱源がなく、外縁部にある膨大な未利用熱を結ぶ輸送インフラの不在が最大の課題となっていました。コリー社はLSHMを大量の熱を運ぶ「高速道路網」に、各地域の熱供給網を「一般道路網」に例えて説明しています。公的資金で先行して熱の基幹幹線を整備することで、各地域で計画される熱供給網が基幹網へ接続できるようになり、政府はロンドンの地域熱供給網への約50億ポンドの投資を呼び込むことにつながると見込んでいます。

 本プロジェクトは現在、計画の初期段階(事前申請段階)にあり、開発許可決定(DCO)の申請手続きを経て最終判断を得る必要があります。計画承認を前提として、2030年代前半から半ばの熱供給開始を目指しています。アンカー熱源となる廃棄物発電施設に加え、将来的には他の熱源も接続可能な拡張性を備えます。

 英国政府の「ウォーム・ホームズ・プラン(Warm Homes Plan)」によると、現在英国の熱需要の約3%を担う熱供給網について、2050年には低炭素型の熱供給網が全体の約5分の1(20%)を担う見通しです。英国政府は熱供給網の拡大に向け、2026年からゾーニング制度を導入するとともに、グリーン・ヒート・ネットワーク基金(GHNF)やナショナル・ウェルス・ファンド(NWF)を通じて投資を促す方針を掲げています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)