シンガポール、AIデータセンター実証をマルチMW級へ 横河電機が参画

2026年09月30日 10:27

データセンターのサーバー回廊

AIデータセンターのイメージ。シンガポールでは熱帯環境に適した電力・冷却・制御などの統合技術を、マルチMW級のパイロット施設で検証する「STDCT 2.0」が進められる(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

シンガポールで、熱帯環境に適したAIデータセンター技術を検証するマルチMW級の実証プロジェクトが進みます。横河電機の東南アジア地域統括会社Yokogawa Engineering Asiaは、シンガポール国立大学(NUS)が主導する「Sustainable Tropical Data Centre Testbed Phase 2.0(STDCT 2.0)」への参画を発表しました。STDCT 2.0ではAI利用に伴う高密度化に対応するため、実証設備をマルチMW級のパイロット施設へと規模拡大。コンピューティング、電力、冷却、制御、運用を統合システムとして最適化する技術を検証します。

本文
 シンガポールにおいて、AI(人工知能)向けデータセンターの電力や冷却などを統合して検証するマルチMW(メガワット)級の実証プロジェクトが推進されています。横河電機の東南アジア地域統括会社であるYokogawa Engineering Asiaは、シンガポール国立大学(NUS)が主導する「Sustainable Tropical Data Centre Testbed Phase 2.0(STDCT 2.0)」に参画し、産業オートメーションやエネルギー管理技術を提供すると発表しました。

 STDCTは、高温多湿な熱帯環境においてデータセンターを効率的かつ持続可能に運用する技術の開発・検証を目的としたテストベッドです。今回のPhase 2.0では、AI利用の拡大に伴うデータセンターの高密度化やエネルギー消費量の増大を念頭に、実証設備をマルチMW級のパイロット施設へとスケールアップして取り組みを進めます。

 NUS側は、AIデータセンターの効率化に向けて、単にコンピューティング設備を個別に最適化するだけでは不十分であり、コンピューティング、電力供給、冷却システム、全体制御、運用の各要素を統合システムとして最適化することが不可欠であると説明しています。STDCT 2.0ではこれらの要素を組み合わせ、エネルギー消費量や水使用量の削減につながる技術などを実証環境で評価します。

 横河電機側は、Yokogawa Engineering Asiaを通じて産業分野で実績を持つ制御技術、自動化、エネルギー管理などの知見を持ち込みます。商用データセンターの建設・受託ではなく、データセンターの全体運用やエネルギー効率を高める統合制御の観点から実証に協力する位置づけです。

 一方、シンガポール全体ではデータセンター基盤の整備構想が進んでいます。横河電機の発表によると、同国ではジュロン島を次世代データセンターの拠点として整備する計画が進められており、最大700MW規模のデータセンター群が建設される見込みとされています。こうした大規模なデータセンター整備が見込まれる一方、STDCT 2.0では熱帯環境に適した持続可能なAI向けデータセンターの運用モデル確立に向け、エネルギー管理や冷却技術などを検証します。

 シンガポールではデータセンターの大規模化が計画される一方、電力や水資源などの消費効率化が重要課題となっています。STDCT 2.0はマルチMW級のパイロット環境でAIデータセンター向け統合技術の検証を進め、横河電機も自社のエネルギー管理・自動制御技術を通じて技術検証の一翼を担う方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)