今回のニュースのポイント
韓国のLG Electronicsは10月1日、米バージニア州アイル・オブ・ワイト郡に同社として米国初となる大型チラー(空調用冷却装置)生産拠点を新設すると発表しました。約43エーカーの敷地に建設される施設でAIデータセンター向けの空冷チラーを生産し、2027年前半の生産開始を予定しています。LGは米国新工場の建設に加え、韓国の平沢および昌原工場の生産ラインも拡張し、3拠点合わせた投資総額は1500億ウォンに上ります。AIデータセンターの拡大に伴い需要が高まる冷却設備の生産能力を強化する戦略的な設備投資となります。
本文
韓国の総合電機大手LG Electronics(LG)は10月1日、AIデータセンター向け冷却設備の需要拡大に対応するため、米バージニア州に同社として米国初となるチラー生産拠点を設立すると発表しました。
AIの普及に伴い、AIデータセンターは大規模データ処理や高性能コンピューティングを担う重要なインフラとなっています。LGは、データセンターの安定稼働には効果的な熱管理が必要不可欠であり、高性能な冷却ソリューションが求められていると説明しています。計算能力そのものに加え、それを支える冷却設備の生産能力拡大が注目される中、LGは機器製造の側面から北米市場への供給体制を強化します。
■バージニア新拠点の概要と雇用の創出
新工場はバージニア州アイル・オブ・ワイト郡に位置し、約43エーカーの敷地に約35万平方フィート規模の製造施設を建設します。AIデータセンター向けの空冷チラーを主に生産し、2027年前半の生産開始を予定しています。本投資により、現地で150人を超える新規雇用が創出される計画です。
■韓国2工場のライン増強と投資総額1500億ウォン
LGの投資は米国拠点の新設にとどまりません。同社は韓国の平沢工場および昌原工場においても空冷チラーの生産ライン拡張を進めています。両工場には量産に適したコンベヤー方式の生産システムが導入され、製造効率の向上が図られます。
今回の投資規模について、LGは米国新工場および韓国2工場を合わせた3拠点の投資総額として1500億ウォン(約1億1300万ドル規模)を投入することを明確にしています。北米現地での供給能力確保と韓国の既存生産拠点の増強を並行して進めます。
■「Chip-to-Chiller」戦略と液冷技術への拡張
同社はチラーの生産能力増強に加え、半導体チップレベルから大規模チラー施設に至る熱管理全体をカバーする「Chip-to-Chiller」ポートフォリオを展開しています。
LGの「Chip-to-Chiller」ポートフォリオには、チラー、CDU(Coolant Distribution Unit:冷却液分配装置)、チップから直接熱を吸収するコールドプレートなどが含まれます。既存の空冷方式に加え、冷却液をコールドプレートに循環させる「Direct-to-Chip」方式の液冷技術も展開しています。LGは、これらを冷却管理システムやソフトウェア、電力インフラと組み合わせ、エネルギー効率とデータ処理性能の向上を図るとしています。
■北米におけるAIインフラ需要の集中
LGが北米への現地投資を推進する背景には、同地域へのデータセンター建設の集中があります。LG North AmericaのChris Ahnシニアバイスプレジデントは、世界のAIデータセンターの半数以上が北米にあると説明しています。また、同社が引用した市場調査会社Omdiaの予測によると、世界のデータセンター容量は2026年の226GW(ギガワット)から2030年には420GWへと194GW増加し、この追加容量の約60%が北米に集中すると見込まれています。
■系列機能を組み合わせる「One LG」アプローチ
LGはチラー単体の供給にとどまらず、HVAC(暖房・換気・空調)に加えてLGグループ他社が持つバッテリーソリューションやデータセンターの設計・建設・運営能力を組み合わせる「One LG」アプローチを展開しています。インドネシア・ジャカルタで進むSinar Mas GroupのハイパースケールAIデータセンタープロジェクトなどにおいても、この統合型ソリューションが適用されています。
AIデータセンターの拡大に伴い、計算能力を支える冷却設備などの周辺インフラの重要性も高まっています。LGは米国工場と韓国拠点の同時増強、および「Chip-to-Chiller」戦略によるAIデータセンター向け統合ソリューションの展開を通じ、拡大する熱管理需要を取り込む構えです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













