政府、成長投資を複数年度で管理へ 特別会計設置、つなぎ国債も検討

2026年10月02日 05:36

首相官邸

第8回日本成長戦略会議。政府は今後5年間を集中投資期間とし、複数年度の財源確保や特別会計の設置など、成長投資を実行する制度設計の具体化を進める(画像出典:首相官邸ホームページ)

今回のニュースのポイント

政府は10月1日、第8回日本成長戦略会議を開催し、年末に策定する「日本成長戦略実行計画」に向けた検討内容を示しました。今後5年間を集中投資期間と位置付け、主として同期間を対象とする計画を策定する方針です。今回の核となるのは、複数年度にわたる大規模かつ計画的な公的支援を可能にする財源・予算管理の仕組みです。特に経済安全保障上重要な分野などについて、複数年度で財源を確保し、特別会計で別枠管理する仕組みを示しています。

本文
 政府は10月1日、第8回日本成長戦略会議を開催し、年末に策定する「日本成長戦略実行計画」に向けた検討を進めました。高市総理は、今後5年間の国内投資の道筋とともに、複数年度で達成すべき目標、必要な予算額、期待する効果などを実行計画に盛り込むよう指示しました。

■5年間を「集中投資期間」に設定

 政府は、今後5年間を「集中投資期間」と位置付け、主として同期間をカバーする「日本成長戦略実行計画」を年末までに策定する方針です。計画策定にあたっては、「足元の収益源」「今後の稼ぎ頭」「経済安全保障の強化」という類型に基づき、17の戦略分野などにおいて特に注力する重要項目を明確化する考えを示しています。政府は、民間投資を誘発する事業や潜在成長率を大きく引き上げる効果が高い事業の特定を進めます。

■複数年度の財源確保と特別会計による別枠管理

 今回の施策における中心的な要素は、複数年度にわたる予算・財源の管理構造です。総理は、複数年度で十分な財源を確保することにより、計画的かつ大規模な公的支援にコミットし、企業の投資予見可能性を高める考えを示しました。このため、別枠管理を行う特別会計を設置する方針が示されています。

 政府は、複数年度の財源を確保した上で、その財源を裏付けとするつなぎ国債により、財政支出を前倒しできる仕組みを検討します。

■効果検証を前提とした対象選定

 特別会計の対象は、国内民間設備投資や潜在成長率を大きく引き上げる観点から政府が支援すべき対象で、経済安全保障上重要な分野などに係る事業とします。一定期間の支援によって収益化や民間投資の呼び水となること、自律性・不可欠性の確保につながることなど、政策的推進の根拠が明確であることを基本条件としています。公的資金投入に見合う収益性や政策効果、波及効果、市場の失敗、政府支援による追加性などの要素を踏まえ、事業の妥当性を判断・検証する方針です。

■成長投資を支える投資環境の整備

 成長投資を実行するための投資環境として、政府は建設供給力、資金供給、AI社会実装、電力インフラの検討を進めています。特に今後の成長投資のボトルネックとなり得る建設分野の労働力不足については、国土交通省と経済産業省を中心とする政府横断の検討の場を設け、年末までに具体的な政策パッケージをまとめる方針です。

 また、AIに関しては年末までに信頼できるAIによる社会駆動(AX)の具体像や規制・制度改革の原則、社会実装のアクションプランを策定するほか、データセンター等の拡大に伴う電力需要に応じた電力インフラの確保に向けた検討も進めます。

■年末の「実行計画」策定に向けた枠組み

 「日本成長戦略実行計画」の策定に向けては、17の戦略分野と8つの横断的課題について重点課題に取り組む責任体制を明確化します。総理は政務三役に対し、17分野の重要投資プロジェクトの現場に赴き、国内投資の進捗を把握して政府支援の費用対効果向上につなげるよう求めました。

 政府は今後5年間を集中投資期間とし、国内投資を引き出すための政策を複数年度で運用する方向を示しました。一方、現時点では特別会計の具体的な予算規模や対象案件、つなぎ国債の発行額などは決定していません。年末に策定される「日本成長戦略実行計画」に向け、重点項目や必要な予算額、投資効果の検証方法など、制度の具体化が焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)