仏Bull、計算インフラの生産能力を2倍に アンジェ工場に8000万ユーロ、AI・スパコン製造強化

2026年10月04日 15:26

bullイメージ

AIサーバーやスーパーコンピューターなど、高度な計算インフラの製造現場をイメージしたもの。仏Bullはアンジェ拠点の再構築・近代化に総額8000万ユーロを投じ、新サイトの生産能力を従来の2倍、生産性を30%向上させるとしている(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

フランスのコンピューティング企業Bullは10月2日、アンジェ(Angers)にある製造拠点の再構築・近代化プロジェクトの一環として、新しい生産棟を開設したと発表しました。2028年完了を目指す総額8000万ユーロの投資プロジェクトの一環で、新サイトでは生産能力を従来の2倍、生産性を30%向上させます。スーパーコンピューターやAIインフラ、企業向けサーバーなどの設計・統合・試験を一貫して行える体制を整え、米Foxconnとの提携を通じてAIサーバーの欧州での設計・製造を目指します。

本文
 生成AIや高性能計算(HPC)の需要拡大を背景に、Bullが強化しているのが、AIサーバーやスーパーコンピューターなど高度な計算インフラを欧州域内で製造する能力です。

 フランスのBullは10月2日、歴史的な製造拠点であるアンジェ工場において新しい生産棟を開設しました。2028年完了を予定する拠点全体の再構築・近代化に向けた投資額は総額8000万ユーロにのぼり、欧州域内における先進計算インフラの供給能力を高める計画です。なお今回の発表に際し、フランス経済相はフランス政府が2026年3月31日にBullの唯一の株主となったことを明らかにしています。

 新施設は総面積2万平方メートルで、そのうち1万700平方メートルが生産エリアに充てられています。新サイトでは、生産能力を従来の2倍、生産性を30%向上させ、建物の維持費を30%削減するとしています。施設内ではスーパーコンピューターやAIインフラ、企業向けサーバーの設計、統合、組み立て、試験、検証をワンストップで行うことができ、将来的には量子技術関連の製造にも対応します。

 また、Bullは今回の新棟開設に合わせて「Open Factory」プログラムを開始しました。スタートアップや研究機関、企業に対し、開発段階から大規模生産への移行を支える製造基盤を提供する取り組みです。その最初の具体的な成果として、台湾のFoxconn(鴻海精密工業)との戦略的パートナーシップを発表。NVIDIAの「Vera Rubin NVL72」プラットフォームをベースとしたAIサーバーを欧州で設計・製造し、AI Factoryやクラウド事業者へ展開することを目指します。

 アンジェ拠点は、2027年にフランスに設置予定の次世代エクサスケール・スーパーコンピューター「Alice Recoque」や、フィンランドの「LUMI AI Factory」向け中核システム(LUMI-AI)の納入拠点にも指定されています。同社は、大型スーパーコンピューターを組み立てられる欧州で唯一の産業拠点であると説明しており、製造の欧州回帰(reshoring)を支える役割を強調しています。

 さらに環境負荷の低減にも配慮されており、施設には3,500枚超(発電能力1,500kWp)の太陽光パネルが設置されるほか、設備からの廃熱を回収して最終的に600世帯相当へのエネルギー供給を目指します。地域暖房ネットワークへの廃熱供給目標は年間5ギガワット時(GWh)としています。

 なお、今回の拠点再構築には公的支援も組み合わされています。地方自治体向けのGreen Fundから120万ユーロ、フランス環境エネルギー管理庁(ADEME)のHeat Fundから21万3,000ユーロ、ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏から150万ユーロなどの公的資金が導入されています。

 Bullは8000万ユーロを投じるアンジェ拠点の再構築・近代化を通じ、スーパーコンピューターやAIインフラなどの生産能力を拡大します。Open FactoryやFoxconnとの提携も組み合わせ、欧州域内で高度な計算インフラを製品化・量産するための製造基盤を強化する方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)