家庭用IoT機器がサイバー攻撃の中継地点として悪用される「レジデンシャルプロキシ」への対策が検討されている。利用者への注意喚起やC2サーバーとの通信遮断など、官民連携による対処が想定されている(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
政府のサイバーセキュリティ関係資料において、家庭用IoT機器が知らぬ間に攻撃の中継地点とされる「レジデンシャルプロキシ」悪用問題への具体的な対処例が示されました。被害申告に基づき、被害者から提供された発信元IPアドレスやポート番号、タイムスタンプなどについて、被害者が注意喚起を申し出た場合や同意した場合に警察からICT-ISAC等へ共有され、通信事業者(ISP)を特定して利用者に通知する情報連携が想定されています。また、攻撃者が機器を遠隔操作するC2サーバー情報をISPへ共有し、DNSによる名前解決要求を遮断することで攻撃の中継を抑止する手法も例示されました。パブリックコメントを踏まえ、実態に合わせた具体的な検討が進められます。
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今年7月に官民連携の対策アライアンス設立が公表された、家庭のIoT機器が知らぬ間にサイバー攻撃の中継地点とされる「レジデンシャルプロキシ」問題。自宅のルーターやネットワークカメラ、動画配信端末などが犯罪の踏み台とされる脅威に対し、政府は関係機関や通信事業者が連携して対処する具体的な仕組みの検討を進めています。
政府が取りまとめた提言では、従来の個別捜査にとどまらず、警察、情報通信研究機構(NICT)、通信業界団体(ICT-ISAC)、そしてインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)が情報を共有し合い、多層的に被害を防ぐフローが提示されました。
具体的には、被害申告に基づき、被害者から提供された発信元IPアドレスやポート番号、タイムスタンプなどについて、被害者が利用者への注意喚起を申し出た場合や実施に同意した場合、警察庁または都道府県警察がICT-ISAC等へ共有します。ICT-ISACやNICT等の機関は、当該端末がDDoS攻撃などにも使われ得るサイバー攻撃インフラに該当するかどうかを合理的に確認した上で対象となるISPを特定し、要請を受けたISPが契約者を割り出して個別注意喚起を行う流れが想定されています。通信の秘密やプライバシー保護に配慮しつつ、正当業務行為としての法的位置づけを整理しながら実効性を高める考えです。
対策例は、乗っ取られた家庭側への通知にとどまりません。攻撃者が感染機器に指令を送る「C2(コマンド&コントロール)サーバー」への通信を直接抑止する取り組みも検討されています。警察やNICTが把握したC2サーバーのドメイン情報リスト(FQDN)をISPに提供し、ISP側の自社DNSサーバーで名前解決要求を検知・遮断することで、端末とC2サーバー間の通信確立を防ぎ、その後に行われるサイバー攻撃の中継を抑止する仕組みです。
一方で、こうした仕組みを社会で円滑に運用するための課題も浮き彫りとなっています。公募されたパブリックコメントでは、通信事業者から利用者特定や通知に伴う業務負担を踏まえた検証を求める意見が出たほか、個人からは誤検知を防ぐためのガイドライン策定や、一般利用者向けの分かりやすい案内・サポート体制を求める意見が寄せられました。政府側も具体的な実施方法については実態に合わせて関係者間で適切に検討する姿勢を示しています。
また、通信遮断や通知といった対症療法だけでなく、レジデンシャルプロキシ化し得るIoT機器の流通抑止や、機器関連事業者、セキュリティ事業者との官民連携による未然防止策の推進も対策に含まれています。
サイバー犯罪への対応は、攻撃者の実態解明や検挙に加え、犯罪の踏み台とされる通信基盤そのものを減らす多層的な対策へと広がっています。家庭内への各種IoT機器やスマート家電の普及が進むなか、身近な通信環境をいかに官民の連携体制で守るかが問われています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













