原子力損害賠償紛争審査会は東京電力福島第一、第二原発事故による原子力損害の範囲の判定などに関する第2次指針を1日までにまとめたが、枝野幸男官房長官は、これを受けて「被害者の迅速な救済を図るため、原子力損害の範囲の全体像について、7月頃に中間指針として取りまとめていただきたいと考えている」と7月での中間指針のとりまとめを期待した。
今回の2次指針では、避難生活などを余儀なくされたことによる精神的損害や一時立ち入り費用、帰宅費用、出荷制限による作付け残念に係る費用をはじめ、出荷制限解除後の損害や農林漁業、観光業での風評被害などを原子力損害として認めている。
また、審査会は「1次、2次指針で対象にされなかったものが賠償すべき損害から除外されるものでない」とし、「今後、検討する」としている。
2次指針によると、避難費用の損害額算定方法では、交通費、家財道具移動費用、宿泊費など現実に自己負担した費用のほか、避難生活により増加した分の生活費については「原則として精神的損害の額に加算し、加算後の一定額をもって損害額とするのが合理的」とした。
また、精神的損害については避難所・体育館・公民館への避難やアパート・借家・公営住宅・仮設住宅・実家・親戚方・知人方への避難、ホテルや旅館への避難など、避難先により生活環境や利便性、プライバシーの確保など苦痛の程度が違うことから、段階的に損害額に差をつける必要があるとして、引き続き検討することにしたとしている。
(編集担当:福角忠夫)