文部科学大臣賞を次世代スーパーコンピュータ「京」のCPUが受賞

2011年05月02日 11:00

 独立行政法人理化学研究所(以下、理研)と富士通は、共同で開発に取り組んできた「次世代スーパーコンピュータ『京(けい)』」向けに富士通が開発した「超高性能CPU『SPARC64 VIIIfx』」で、日刊工業新聞社が主催する日本産業技術大賞 文部科学大臣賞を受賞した。

 『京(けい)』とは理研が2010年9月末から搬入、設置を開始している「次世代スーパーコンピュータ」の愛称で、『SPARC64 VIIIfx』は、文部科学省が推進する革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築の下、両社が共同で開発を進めている『京(けい)』の心臓部として、汎用性、高性能、高実効効率、低消費電力、高信頼性の同時達成を目標に富士通が開発したCPU。1チップ内に8個のCPUコアを搭載し、並列処理数を増加させることで、汎用CPUとしては世界最高クラスの理論ピーク性能となる128ギガFLOPSを実現している。

 また、CPU内部の電力効率の改善や水冷方式の採用などで、CPU内部回路の漏れ電流を大幅に低減させ、消費電力あたりの性能が1ワット当たり2.2ギガFLOPSを達成し、汎用CPUとして世界最高クラスを実現。そのほか、エラー発生時には自動的に再実行する命令リトライ機構や、CPU内部の回路をエラー訂正するなど、メインフレームと同等の高信頼性を実現。CPUは、コンピュータの心臓部ともいえるキーデバイスで、富士通はコンピュータの黎明期から高い性能と信頼性とを兼ね備えたCPU開発に取り組んでいる

 このような『SPARC64 VIIIfx』の高いピーク性能や低消費電力の実現、そしてその開発から得た技術が、スーパーコンピュータのみならず汎用サーバに下方展開され、今後の日本の情報技術の発展に貢献できること、そしてこのCPUを用いたシステムがその卓越した計算パワーを活かして、科学分野のみならず産業分野での貢献も期待されること、などが評価され、今回の受賞となった

 『京(けい)』は今後、さまざまな計算科学の分野に広く利用されることにより、世界最高水準の成果創出に貢献することが期待され、両社は2012年の完成を目指し最大限努力していくという。