近頃、「保険の見直し」をする人が増えている。これまでは、一度入った保険を見直して他社の商品に乗り換えるのは面倒だと思っている人が多かったが、ここ数年で、保険を見直すことで得られるメリットが大きいことが認知されてきたようだ。
保険相談を受けているファイナンシャル・プランナーによると、不必要に複数の保険に加入していたり、保障内容の偏ったプランに入っていたりする家庭が少なくないという。また、これまで見直しをしなかった理由としては、「見直すメリットが分からない」「面倒くさい」「見直して、逆に失敗するかも」という意見が多く見られるらしい。しかし、そんな単純な理由で保険の見直しをしないのは本当にもったいないのだ。
実際、保険を見直したことのない人なら、保険料負担を今よりも軽くできる可能性は高い。長引く不況に、ガソリン代や電気代の上昇、ボーナスの削減、社会保険料や税金の負担増など、家計を圧迫する厳しい状況が続いている中、保険料の負担を少しでも軽くできるとしたら、それだけでも大きなメリットといえるだろう。
<保険を見直す3つのタイミング>
保険を見直す絶好のタイミングとしては、3つのポイントが考えられる。まず「子どもの成長や家族構成の変化」に合わせて見直すタイミング。保険に加入して5年も経てば、家族の年齢や家族構成にも変化はあるはず。細かく見直すことで大きな節約につながる。そして2つめは「禁煙に成功」したとき。最近は禁煙ブームの影響もあって、非喫煙者には保険料を大幅に割引してくれるタイプのプランが増えている。禁煙に成功したのなら、保険を見直す絶好の機会といえるだろう。3つ目は、家計の収入が減ってしまったとき。生命保険で入るべき金額は、現在の家計の支出をベースに考えるべきもの。保険は家計の金額をもとに将来必要になる金額を積み上げて算出するものなので、生活費の規模が小さくなれば当然、生命保険で準備すべき保険金額も自然と小さくなるというわけだ。他にも、生活スタイルやライフプランによって様々なタイミングがあると思われるが、少なくとも、この3つのどれかに該当するなら、保険の見直しを検討してみる絶好の機会といえる。
<保険見直しのポイントは?>
「保険の見直し」が見直されつつあるが、はじめて検討する人にとっては、何をポイントに見直しを考えればいいのか分からないといった意見も多い。生命保険は、いったん入ると基本的には長期に渡って支払っていくものだ。保証の内容はプランによって様々だが、まずは毎月の掛け金をポイントに考えてみるのが分かりやすい。毎月支払う保険料の総額を数十年という単位で考えると、わずか数千円の違いが、大きな違いになってくる。例えば、月々の支払いが5000円安くなると、当然、年間で6万円も違ってくるのだ。同じ程度の保証ならば、この差は大きい。一年単位ならまだしも、20年になると120万円もの差になってくる。「保険の見直しなんて、面倒くさい」という理由だけで、こんな大きな金額を無駄にするのは実にもったいない。家計に120万のゆとりができれば、教育資金や老後の積み立てにすることも出来るし、レジャーに使ったり、車などの資金に回してもいいだろう。とくに、子供のいる家庭は、保険の見直しを一度でも検討するべきだ。子供が成長するにつれ、塾や稽古事で出費がかさんでしまう。大学生や高校生ともなると、受験費用や下宿費用、仕送りなどで家計はさらに厳しくなるだろう。しかも、その分の収入が上手く増えるとは限らない。結局、パートで補うか、夫の小遣いなどを減らすかという選択になりがちだ。ところが、ファイナンシャル・プランナーによると、パートの時間を増やしたり、夫の小遣いを減らすのはあまり良い策ではないようだ。住宅ローンや生命保険料を捻出するために、心身の健康を損なうようなことになれば、それこそ本末転倒。家族全員が心身ともに元気で過ごせる環境づくりが、ライフプランを安定させる上で最も重要なことと言える。
保険はもしもの時の備えとして、とても重要だ。しかし、長期に渡って備えるものだから、無駄な出費は極力避けるようにするべき。面倒くさいかもしれないが、その価値は充分にある。数年に一回くらいは定期健診のように、見直す機会を持ってみるのが賢明かもしれない。(編集担当:石井絢子)